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■NEWS 超高額新薬の登場控え、対応の検討に着手―社保審・医療保険部会

No.4930 (2018年10月20日発行) P.21

登録日: 2018-10-11

最終更新日: 2018-10-11

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社会保障審議会医療保険部会は10日、超高額なバイオ新薬や再生医療等製品の国内上市を見据え、保険制度上の対応について検討を開始した。有効性・安全性が確認された品目は速やかに保険収載するという「原則」を崩さずに、保険外併用療養や税制などの仕組みをどのように活用するかが焦点となりそうだ。

現行の制度では、高額薬剤による財政影響を和らげる措置として、年間販売額が極めて大きい品目に対する再算定ルールや、市場規模の大きな品目を対象に試行導入している費用対効果評価などの仕組みがある。

一方で、これまでにない超高額な新薬の承認が近く複数見込まれている。例えば、ノバルティスファーマが今年4月に申請した急性リンパ性白血病に用いる再生医療等製品Kymriah(キムリア)は、米国で1回5560万円の価格が付けられた。同製品は、患者由来のT細胞に標的能を持つ遺伝子を導入し、がん細胞を攻撃しやすくして体内へ戻す「キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)療法」に用いるもの。再発・難治例に対する効果の高い治療法として期待されており、国内での投与患者数は250例程度と予測されている。

10日の会合で、森昌平委員(日本薬剤師会)は「経済的理由で使える患者が限られる仕組みでは公的保険の意味がない」と述べ、高額薬剤を保険償還せず保険外併用療養とする考え方に難色を示した。菅原琢磨委員(法政大)は、薬価引下げだけでは開発コストの高いバイオ新薬に対する企業の意欲を削ぐと指摘し、「税制の活用も組み合わせて考えるべきだ」と提案した。

超高額薬剤への対応の検討に着手した部会

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