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2018年度同時改定を医療政策の視点からどう読むか?[深層を読む・真相を解く(80)]

No.4928 (2018年10月06日発行) P.24

二木 立 (日本福祉大学相談役・大学院特別任用教授)

登録日: 2018-10-08

最終更新日: 2018-10-03

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本年度の診療報酬・介護報酬同時改定についてはすでに多くの解説や対応指針が示されています。今回の改定はきわめて論理的でしかもきめ細かいと高く評価されており、私も大枠ではそれに同意します。本稿では、その繰り返しは避け、医療政策的に重要と思われる以下の4点について検討します。①7対1病棟と10対1病棟の再編・統合、②200床未満の中小病院の地域包括ケアへの参入の促進、③医療機関の「複合体」化の奨励、④療養病床の介護医療院への転換の誘導。

「一般病棟入院基本料」は「一体改革」の放棄

言うまでもなく、今回の診療報酬改定の最大の目玉は、従来の7対1病棟と10対1病棟の入院基本料を再編・統合した7段階の「急性期一般入院基本料」の創設です。

従来は7対1病棟と加算最高ランクの10対1病棟の入院料の差は204点もありましたが、改定後は、入院料1(旧7対1病棟。1591点で変更なし)と入院料2(旧10対1病棟の最高ランク。1561点)の差はわずか30点に縮小しました。しかも、入院料2の看護配置は10対1でよいため、旧7対1病棟より看護職員費用が大幅に低下する結果、相当の増収になります。そのために、病院団体や病院経営者のほとんどはこの改革を好意的に受け止めています。私自身も、この改革は従来の7対1入院基本料と10対1入院基本料との大きな格差を縮小する上では、合理的だと判断しています。

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