厚生労働省は19日、診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担のあり方に関する分科会」で、消費増税対応として基本診療料への上乗せを行った2014年度改定で補塡不足とバラツキが生じた要因について、上乗せ項目の算定回数の見込みと実績の乖離などが考えられると報告した。14年度改定の補塡状況調査の誤りについては、樽見英樹保険局長が陳謝した上で、補塡率のバラツキを最小限にする方法を検討する姿勢を強調。さらに、税制改正要望に盛り込んだ「個別の医療機関等の補塡の過不足に対応する新たな措置」の実現にも「全力で取り組む」と表明した。
2014年度改定では、消費税率8%への引上げに伴う負担増に対応するため、初・再診料、入院基本料等の点数項目に上乗せが行われた。厚労省は当初、「マクロでは概ね補塡されている」と総括していたが、根拠となる調査にミスが発覚。今年7月の同分科会で再分析結果が公表され、急性期病院を中心に大幅な補塡不足が生じており、医療機関の種別などによって補塡率に大きなバラツキがあることが明らかとなった。
厚労省は同日の会合で、病院を中心に補塡不足と補塡状況のバラツキの分析結果を公表。バラツキの要因として、課税経費率(総収入に対する課税経費のシェア)の上昇や上乗せ項目の実際の算定回数が見込みを下回ったことを挙げた。算定回数の全体的な傾向としては、初・再診料の算定は見込みの9割弱にとどまり、入院料全体の算定も総じて見込みより少なかった。
厚労省は今後、来年10月に予定される消費税率10%への引上げに向け、病院と診療所の財源配分を行う際に補塡のバラツキを抑える工夫などについて検討を進める方針。