株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

■NEWS 医療機関から外へも出ていこう―日本小児科学会が「将来の小児科医への提言2018」を公表

No.4921 (2018年08月18日発行) P.18

登録日: 2018-08-09

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

日本小児科学会将来の小児科医を考える委員会(小西恵理委員長)は7月31日に「将来の小児科医への提言2018」をホームページで公表した。小児科医が医療機関から外に出て、地域の養育機能を向上させる重要性を強調している。

提言は「コミュニティ小児科学」「学術研究」「小児医療提供体制」の3分野について記載した。

このうち、コミュニティ小児科学に関する提言として、「地域へアウトリーチし、多職種協働によってコミュニティが持つ子どもたちの養育機能を向上させる」ことを掲げた。

■現在の子どもの課題は生活環境で生じている

この背景として、衛生状態の改善や医療技術の開発・発展等によって子どもの死亡率が20世紀から現在にかけて著しく減少する一方、現在の子どもたちに関わる課題は、家庭や保育、教育現場などの生活環境で生じていることを指摘。また、貧困に代表されるような社会問題も、家庭での療育能力の低下や子どもたちの治療コンプライアンスなどに直結する問題との認識を示した。

その上で、「小児科医は医療機関から一歩外に出て、多職種と協働することでコミュニティの養育機能を牽引していく役割を果たすことが、今後期待されていく」と強調。小児科医が「コミュニティ小児科学」を学術分野として位置づけ、これまで以上に子どもたちの健やかな成育を意識し、支援する必要性を明記した。

このほか学術研究については、学問としての「小児科学」の興隆を目指すこと、小児医療提供体制については、日本小児科学会がすべての小児科医と、子どもたちに関わるすべての人を応援することを提言した。

■将来の小児科医に8つのメッセージ

さらに、これらの提言の最後に将来の小児科医に向けた8つのメッセージを掲載。①いつでも、子どもたちの味方でいよう、②子どもたちそれぞれに個性があり、多様であることを尊重しよう、③子どもたちの現在、そして未来を育もう、④子どもたちを通して、家族や社会を応援しよう、⑤病院、診療所にとどまらず、外へも出ていこう、⑥社会における役割を考え、子どもたちに関わるすべての人たちと協働しよう、⑦リサーチマインドをもって、小児科学、さらに広く学問を追求していこう、⑧子どもたちに関われる喜びを、広く社会に、そして次の世代に伝えよう―と呼びかけている。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top