株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

(1)慢性便秘症の疫学と診断[特集:ガイドラインに基づく慢性便秘症治療]

No.4919 (2018年08月04日発行) P.28

千葉俊美 (岩手医科大学口腔医学講座関連医学分野教授)

登録日: 2018-08-06

最終更新日: 2018-08-01

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

便秘の有病率は若年層で女性に多く,80歳以上で男女比がほぼ1:1となり,年齢とともに増加する

慢性便秘症は他の機能性消化管疾患である胃食道逆流症(GERD),過敏性腸症候群(IBS),機能性ディスペプシア(FD)との併存も多く認められている

慢性便秘症患者のQOLの低下が認められ,社会的労働生産性の低下も報告されている

慢性便秘症の診断は海外ではRome Ⅳ基準が提唱されており,わが国では慢性便秘症診療ガイドラインに基づいて行う

症状,既往歴,警告症状・危険因子などから血液検査,大腸内視鏡検査または注腸X線検査等を施行して,腫瘍性疾患や炎症性疾患を鑑別する

消化管機能検査は大腸通過時間検査,排便造影検査,バルーン排出検査などがあり,慢性便秘症の病態把握に有用である

1. 慢性便秘症の疫学

1 有訴者率

わが国の便秘の有訴者率は2016年度国民生活基礎調査1)によると2~5%程度と言われ,男性(2.5%)よりも女性(4.6%)に多い傾向を示している。加齢により有病率は増加し,若年層では女性に多く,高齢になるに従い男性の比率が増加し,80歳以上では男女比がほぼ1:1となっている(図1)。さらに,高齢者施設入所者では50%程度の有病率と報告もある。しかしながら,慢性便秘症に限定した疫学調査はわが国では行われていないのが現状である。

一方で,欧米における有病率はおよそ15%程度とされ,男女比は1:2で,わが国と同様に加齢に伴い有病率の増加を認めている2)。慢性便秘症の発症率は,人口1000人につき40人程度と報告され,12年間におよぶ累積発症率は17.4%で,成人における有病率は14%で文献により1.9~40.1%と幅広く報告されている3)~5)。性差においても,男性と女性の有病率の比率は1:2.2と女性に多く,さらに65歳以上ではいきみや硬便が排便回数の減少よりも問題視されている。家族内発症することもあるが,そのメカニズムに関して研究した報告はなく現時点では未解明である。また,非白人,低収入,施設入居者に有病率が高く,一方で,教育年数が長い,社会的・経済的地位の高い人では有病率が低いと報告されている6)。家族歴における検討では,便秘女性の姉妹,娘,母親における有病率はオッズ比で3.8と高率で,慢性便秘症は他の機能性消化管疾患である食道胃逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD),過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS),機能性ディスペプシア(functional dyspepsia:FD)との併存も多く認められている7)

プレミアム会員向けコンテンツです(期間限定で無料会員も閲覧可)
→ログインした状態で続きを読む

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top