高市早苗首相は10月21日、首相官邸で就任後初の記者会見に臨み、診療報酬改定の時期を待たずに病院の経営改善につながる補助金を「前倒しして措置する」と明言した。
自民党総裁の高市氏は同日、衆参両院の首相指名選挙で第104代首相に選出され、自民党と日本維新の会の連立政権を発足させた。
■改定時期待たずに「赤字に苦しむ病院・介護施設」に対応
記者会見で高市首相は、夏の参院選で自民党が掲げた給付金は「国民の理解が得られなかった」として実施を見送る考えを表明。予定していた財源は「物価高に関する国民の懸念の1つ1つに丁寧に対応するための財源」として使うとした。
その上で、物価高対策の一例として「赤字に苦しむ病院・介護施設への対応」を挙げ、「診療報酬・介護報酬について報酬改定の時期を待たずに、経営の改善、働いている方々の処遇改善につながる補助金を前倒しして措置する」と述べた。
高市首相は、医療機関の7割が赤字を抱えるなど医療機関・福祉施設の危機的状況に触れながら、「私たちの安心・安全に関わる大切なインフラが失われるかもしれない。いま手をつけなければ間に合わないことがたくさんある。とにかく経済対策最優先で取り組ませてください。いますぐ解散どうのこうのと言っている暇はない」とも述べ、早期の衆院解散を否定した。
■厚労相に上野賢一郎氏、財務相に片山さつき氏
高市内閣では厚生労働相に上野賢一郎元財務副大臣、文部科学相に松本洋平元経済産業副大臣を起用。財務省には片山さつき元地方創生担当相が就任した。
女性初の首相として就任会見に臨む高市氏(首相官邸HPより)
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