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骨盤骨折

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-24
野田知之 (岡山大学大学院医歯薬学総合研究科運動器外傷学講座准教授)
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  • ■疾患メモ

    骨盤骨折は,①骨盤輪骨折と,②寛骨臼骨折に大別される。前者は高エネルギー外傷であり,骨盤輪の破綻により大量出血をきたし,生命の危険に晒される可能性も少なからずある。低エネルギー外傷で生じる高齢者の骨盤脆弱性骨折も近年増加中である。

    寛骨臼骨折は関節内骨折であり,歩行困難を含めた股関節機能障害を生じる可能性を持つ骨折である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    激痛をきたし,坐位不能や体動困難となる。大量出血を伴う場合は出血性ショックに陥る。

    骨盤内臓器の損傷も合併することがあり,膀胱損傷,尿道損傷,神経損傷などが代表的である。

    寛骨臼骨折では股関節後方脱臼を伴うこともある。

    【検査所見】

    大量出血や重篤な他臓器損傷の合併も多いので,まず外傷診療プロトコールに沿った系統的アプローチで損傷評価と蘇生など必要な処置を行う。

    単純X線像は骨盤輪骨折では骨盤正面,入口部,出口部撮影の3方向,寛骨臼骨折では骨盤正面,両斜位撮影の3方向を撮影する。単純X線像で診断できる場合も多いが,仙骨を含めた骨盤後方要素の骨折や脱臼,あるいは不顕性骨折などでは判別困難な場合も多い。

    治療方針決定のための,より詳細な分析が可能なためCT評価が必要である。血管損傷や骨盤内臓器損傷などの精査には造影CTが有用である。また不顕性骨折が疑われる場合はMRIが有用である。

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