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クリミア・コンゴ出血熱

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
加藤康幸 (国立国際医療研究センター国際感染症センター国際感染症対策室医長)
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  • ■疾患メモ

    アフリカ大陸・アラビア半島からユーラシア大陸にかけて広範に分布する致死率の高い(3~30%)急性発熱性疾患である。

    病原体はクリミア・コンゴ出血熱ウイルス(ブニヤウイルス科ナイロウイルス属)で,野生動物や家畜がウイルスを保有し,マダニによって媒介される。

    稀に患者の血液・体液を介して医療従事者などが感染することがある。

    わが国では一類感染症に指定されており,患者への入院勧告・措置を含めた行政対応が感染症法により定められている。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    約5日間(3~7日間)の潜伏期があり,発熱,倦怠感,筋肉痛などで発症する(出血前期)。結膜充血,上半身の潮紅,嘔吐,下痢などを認めることも比較的多い。発症7日を過ぎると,出血症状が著明になることが多い(出血期)。

    鼻出血,消化管出血,性器出血,肺胞出血などの合併が知られている。発症から10日前後で回復期に入る。

    臨床像は国内でも報告されている重症熱性血小板減少症候群ウイルス(severe fever with thrombocytopenia syndrome virus:SFTS)に類似するが,クリミア・コンゴ出血熱のほうが出血傾向が著明と考えられる。

    【検査所見】

    出血前期~出血期に患者の血液から病原体遺伝子を検出することで確定診断する。回復期には抗体検査を実施する。いずれも国立感染症研究所に依頼することができる(通常は保健所を介した行政検査として実施される)。

    白血球と血小板数は低値を示すことが多い。

    AST,LDH,CKは発症10日前後をピークに高値を示すことが多い。

    DIC様の凝固異常を認める。

    血中ウイルス量は致死率と相関し,発症から2週間以内に検出しなくなることが多い。

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