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糖原病

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-21
大竹 明 (埼玉医科大学小児科教授)
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  • ■疾患メモ

    繰り返す低血糖に脾腫大のない肝腫大を伴う場合は,肝型糖原病を疑う。

    短時間の激しい運動後に筋痛,筋硬直,ミオグロビン尿症を伴う場合は,筋型糖原病を疑う。

    糖原病(glycogenosis)すべてを合わせた頻度は2万~2万5000人当たり1人とされるが,軽症肝型や筋型は診断されていないものも多く,真の頻度はもっと高い。

    Ⅸ型の一部のみX連鎖遺伝で,ほかは常染色体劣性遺伝型式をとる。

    ■代表的症状・検査所見1)

    【症状】

    〈肝型糖原病〉

    共通する主要症状としては,空腹時低血糖,肝腫大,腹部膨満,人形様顔貌()がみられる。

    10_33_糖原病

    各型で固有の症状は,

    ①Ⅰ型:成長障害・低身長,出血傾向(特に鼻出血),易感染性(Ⅰb型のみ),

    ②Ⅲ型:筋力低下,心筋症,運動発達遅滞(Ⅲa, Ⅲd型),

    ③Ⅸ型:ミオパチー,がある。

    〈筋型糖原病〉

    短時間の激しい運動後に起こる筋痛,筋硬直,ミオグロビン尿症がみられる。

    Ⅴ型では,痛みをがまんして運動を続けると突然軽快する(second wind現象)。

    病型により,溶血,精神遅滞がみられる。

    【検査所見】

    〈肝型糖原病〉

    ①空腹時低血糖

    ②高乳酸血症(Ⅰ型:空腹時,Ⅲ, Ⅵ, Ⅸ型:食後)

    ③肝機能障害

    ④低血糖時の代謝性アシドーシス

    ⑤高尿酸血症

    ⑥好中球減少(Ⅰb型)

    ⑦高CK血症(Ⅲa, Ⅲd型)

    ⑧画像異常:グリコーゲン蓄積(時に脂肪肝)による肝腫大

    〈筋型糖原病〉

    ①高CK血症

    ②血中・尿中ミオグロビン高値

    ③高尿酸血症

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