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糖尿病神経障害

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
神谷英紀 (愛知医科大学医学部内科学講座糖尿病内科准教授)
中村二郎 (愛知医科大学医学部内科学講座糖尿病内科教授)
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  • ■疾患メモ

    糖尿病神経障害は,糖尿病性合併症の中で最も頻度の高い合併症である。

    糖尿病神経障害の発症メカニズムとして,高血糖に伴う代謝異常が神経系細胞および神経栄養血管(血流障害)に障害を引き起こすことが重要であると考えられている。

    その診断においては,「糖尿病性神経障害を考える会」が提唱する糖尿病性多発神経障害の簡易診断基準1)に基づいて,臨床症状の確認とともに身体所見を取ることが重要である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    糖尿病神経障害は,多発性神経障害と局所性神経障害にわけられる。多発性神経障害はさらに遠位対称性神経障害および自律神経障害に,局所性神経障害は単神経障害および多巣性神経障害に分類される。

    遠位対称性神経障害は,体幹から最も遠位部より発症する痛み・しびれ・感覚異常・感覚鈍麻などの感覚障害で,左右対称性に進行する。

    自律神経障害は,頑固な便秘・下痢・発汗異常・不整脈や起立性低血圧など自律神経系の障害を呈する。

    局所性神経障害には,動眼神経麻痺・外転神経麻痺や顔面神経麻痺といった脳神経麻痺や糖尿病性筋萎縮などが含まれる。

    【検査所見】

    糖尿病神経障害の診断においては,「糖尿病性神経障害を考える会」が提唱する糖尿病性多発神経障害の簡易診断基準に基づいて,臨床症状の確認とともに,両側のアキレス腱反射および両側の内踝振動覚の検査が重要である。①痛み,しびれや感覚鈍麻といった臨床症状,②両側アキレス腱反射の低下あるいは消失,③両側内踝振動覚の低下,の中で2つを満たせば神経障害あり,と診断する。

    電気生理学的検査として,神経伝導検査が重要である。

    自律神経検査としては,心電図CVR-R検査が用いられるが,加齢的変化を考慮する必要がある。

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