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小細胞肺癌

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-12
山本信之 (和歌山県立医科大学医学部呼吸器内科・腫瘍内科(内科学第三講座)教授)
赤松弘朗 (和歌山県立医科大学医学部呼吸器内科・腫瘍内科(内科学第三講座))
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  • ■疾患メモ

    2012(平成24)年のわが国における肺癌死亡数は7万人超で,小細胞肺癌はうち約15%程度を占めるとされている。喫煙人口の減少に伴い,小細胞肺癌の発生も近年減少傾向にあるとされる。

    進行の早い予後不良の疾患で,切除可能な状況で発見されることは少なく,多くが内科治療の対象(化学療法±放射線治療)となる。

    近年,非小細胞肺癌に対しては分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬が良好な治療成績を示しているが,小細胞肺癌に関する治療開発は進んでいない。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    小細胞肺癌に限らず胸部悪性腫瘍全体でみられる症状として,疼痛,息切れ,血痰などが挙げられる。

    また,進行例の場合は転移部位における局所症状として脳転移による頭痛や筋力低下などの神経症状や痙攣で発症することもある。

    また,小細胞肺癌は腫瘍随伴症候群を伴いやすく,抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(syndrome of inappro-priate secretion of antidiuretic hormone:SIADH)による低ナトリウム血症やEaton-Lambert症候群などが知られている。

    【検査所見】

    画像検査では肺門型肺癌で縦隔リンパ節腫脹を伴うことが多い。

    血液検査では腫瘍マーカーとしてpro GRPやNSEが有用で,陽性率はそれぞれ約60%,70%とされる。

    確定診断は組織検体の採取により行い,N/C比の高い小型細胞で細胞質は乏しく広範な壊死背景を伴う腫瘍細胞が典型的である。

    免疫組織化学染色ではCD56,chromogranin A,synaptophysinが陽性となる。病理診断と並行して病期診断を行うことも重要である。胸部・上腹部の造影CT,頭部造影MRI,骨シンチまたはPETを行う。

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