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ネフローゼ症候群の管理と治療 [内科懇話会]

No.4818 (2016年08月27日発行) P.38

司会: 猿田享男 (慶應義塾大学名誉教授)

演者: 岡田浩一 (埼玉医科大学腎臓内科教授)

登録日: 2016-12-16

最終更新日: 2017-01-19

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  • 【司会】 猿田享男(慶應義塾大学名誉教授)

    【演者】 岡田浩一(埼玉医科大学腎臓内科教授)

    微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)には経口ステロイドを2年を目安に投与し,頻回再発例には免疫抑制薬を使用

    MCNS頻回再発例には保険適用追加のリツキシマブの効果が期待できる

    特発性膜性腎症(IMN)は自然寛解・予後良好例もありPLA2R抗体価測定によるテーラーメイド治療へ

    ‌ネフローゼ症候群ガイドライン2014をふまえて

    日常診療で多く遭遇し,診療上で苦労しているものが,微小変化型ネフローゼ症候群(minimal change nephrotic syndrome:MCNS)と膜性腎症(membranous nephropathy:MN)です。

    全ネフローゼ症候群の大きな部分を一次性腎疾患,すなわち腎臓そのものに起因する糸球体疾患が占めています。一次性腎疾患の2大疾患がMCNSとMNです。特にMCNSのステロイド依存性のタイプ,それからMNの難治性のタイプは日常診療で多く遭遇し,難渋している疾患です。

    微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)

    MCNSに関して,ガイドラインではクリニカルクエスチョン(CQ)にステートメントをつける形式で,問題点とその対処法を挙げています。

    CQ1はステロイド療法について,推奨グレードB,比較的高い推奨度をもって経口ステロイドが初回治療において蛋白尿減少に有効であると示し,これが第一のステートメントになります。

    CQ2は,ステロイドが効かないタイプ,もしくはステロイドを減らすと再発するタイプに対して,日本ではステロイドに加えてシクロスポリンを併用することが有効として推奨しています。

    しかしevidence basedで見ると,実はシクロスポリンの併用療法よりもシクロホスファミド(アルキル化薬)を用いた併用療法のほうが,ステロイド依存性もしくは頻回再発型のMCNSに対してはより有効性が高いのです。しかしわが国では,MCNSでは若年の患者が多く,アルキル化薬の副作用に対する懸念から,シクロスポリンの併用が行われてきました。

    また,わが国固有の薬剤ミゾリビンに関しては,小児ではエビデンスがあるものの,成人では成績が出ていません。こうした事情から,ガイドラインで扱われる併用薬の優先順位が決まってきます。

    MCNSの第一選択であるステロイド大量療法による完全寛解の導入率を比較した総説があります。ステロイド投与後2〜4週目で急峻に寛解導入され,ステロイドが非常に効きやすいことは共通していますが,報告ごとに非常によく効く群と,効き方が比較的弱い群がみられ,バラツキがあります。

    MCNSは完全寛解導入後,ステロイドを減量しはじめると,高い確率で再発します。100%寛解導入群から再発して脱落していく症例を見たメタ解析でも,再発が少ない報告,再発がある程度多い報告と,バラツキがあります。この総説では,体重1kg当たり1mg相当,成人で60mgくらいのプレドニゾロンを少なくとも4週間投与し漸減すると,寛解が早く,再発も少ないとしています。ステロイドの十分な初期量と十分な投与期間が,早期の寛解導入と再発予防のために重要であることを示しています。

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