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【文献 pick up】「eGFR<30mL/分/1.73m2」の保存期CKD例でもRAS-iには腎保護作用―RCTメタ解析/CJC誌

宇津貴史 (医学レポーター)

登録日: 2024-03-19

最終更新日: 2024-03-19

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過日、透析導入例におけるレニン・アンジオテンシン系阻害薬(RAS-i)継続の有用性を示唆する研究が報告されたが本欄拙稿]、透析前の重度慢性腎臓病(CKD)例でも同様に、RAS-iは継続したほうが腎保護的に作用する可能性が示された。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のNicolas Vendeville氏らによる、Canadian Journal of Cardiology誌3月6日掲載のメタ解析である。

【対象】

今回のメタ解析に含まれたのは、ランダム化比較試験(RCT)9報(1150例)と観察研究14報(6778例)である。いずれの試験も対象は、RAS-iの適応がある「eGFR<30mL/分/1.73m2」のCKD例。これらを対象にRAS-i「継続 vs. 中止」「開始 vs. 非開始」「使用 vs. 非使用」が比較された(以下、「服用 vs. 非服用」と表記)。試験開始時eGFR平均値は、RCT参加例で22.1mL/分/1.73m2、観察研究参加例では22.4mL/分/1.73m2だった(いずれも判明分のみ)。血清カリウム値平均はそれぞれ4.7mmol/L4.3mmol/Lだった(判明分のみ)。

【方法】

RAS-i「服用」群と「非服用」群間で「末期腎不全」(維持透析導入・腎移植)、「MACE」(脳梗塞・心筋梗塞・心臓死)、「総死亡」の相対リスクを比較した。

【結果】

・末期腎不全

末期腎不全が報告されていたRCTの8報を併合すると、RAS-i「服用」群は「非服用」群に比べ「末期腎不全移行」の相対リスク(RR)は0.84の有意低値だった(95%信頼区間[CI]:0.74-0.96)。試験間のバラツキ指標であるI2は0%(バラツキなし)だった。他方、観察研究9報の併合解析では、RAS-i「服用」群による末期腎不全移行リスクの低下は見られなかった(RR1.0395%CI0.90-1.17)。ただしこちらはI296.2%ときわめて高かった。

・MACE

本メタ解析定義のMACEを評価したRCT 2報(のみ)を併合すると、RAS-i「服用」群のMACEリスクは「非服用」群と有意差がなかった(RR0.8795%CI0.49-1.57)。I2は0%である。一方、観察研究5報メタ解析では、RAS-i「服用」群のMACEリスクの有意な低下を認めた(RR0.88、95%CI:0.77-1.00P=0.047)。ただしI290.7%だった。

・総死亡

RCT 7報併合の結果、RAS-i「服用」群の死亡リスクは「非服用」群と差を認めなかった(RR1.0295%CI0.63-1.65、I2=0%)。一方、観察研究12報メタ解析ではRAS-i服用に伴う総死亡リスクの有意な低下を認めたが、I292.5%という高値だった。

【考察】

RCTと観察研究の間でRAS-i服用の有効性が異なった点について、Vendeville氏らは、バラツキの小ささなどから「RCTメタ解析のほうが信頼性は高い」と判断。その上で本解析では評価できなかったRAS-iの安全性についてはRCTSTOP-ACEi”で証明されているとし、同試験で検討されたACE阻害薬とARBは原則として、進展したCKD例であっても、末期腎不全抑制を目的とした使用を考えるべきだろうと考察していた。

本研究は外部からの資金提供を受けていない。またCOIに関する記載はなかった。

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