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乾癬の経口薬として約25年ぶりの新薬:PDE4阻害薬アプレミラスト【炎症性サイトカインの産生を抑制し,皮膚および関節症状を改善】

No.4905 (2018年04月28日発行) P.52

鶴田紀子 (佐賀大学皮膚科)

登録日: 2018-04-29

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2017年3月,PDE4阻害薬アプレミラスト(オテズラ®)が発売された。アプレミラストは,PDE4を阻害して細胞内のcAMP濃度を上昇させ,TNFα,IL-23,IL-17などの炎症性サイトカインの産生を抑制し,乾癬の皮膚および関節症状を改善すると考えられている。適応症は,局所療法で効果不十分な尋常性乾癬と関節症性乾癬である。最初の2週間はスターターパックを用いて,10mgから開始して1日10mgずつ漸増し,6日目以降は1回30mgを1日2回服用する。重度の腎機能障害では減量し,妊婦には禁忌である。安全性が高く定期的な血液検査は必須ではない。高齢者や担癌者にも投与しやすい。投与初期に下痢や嘔気,頭痛がみられることがあるため,必ず漸増すること,副作用について患者に事前に説明すること,が重要である。副作用は軽症で治療を要しないことが多いが,持続する場合は休薬や減量を行う。

海外臨床試験1)では,投与16週のPASI-75(皮膚症状75%改善)達成率は33.1%,ACR20(腫脹・圧痛関節数20%以上改善)達成率は38.1%と生物学的製剤より劣るが,著効例もある。痒みや頭皮・爪に効果が出やすいことも知られる。実際には,外用療法や光線療法などと併用することが多い。薬価は30mgで972.60円と高額である。

安全性と有効性のバランスから,アプレミラストの適応となる患者は多いと思われる。一人ひとりに合った治療戦略が望まれる。

【文献】

1) Papp K, et al:J Am Acad Dermatol. 2015;73 (1):37-49.

【解説】

鶴田紀子 佐賀大学皮膚科

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