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半側空間無視リハビリテーションの最新動向【プリズム適応(PA)療法は回復期のリハビリテーションアウトカムを改善させる】

No.4900 (2018年03月24日発行) P.51

水野勝広 (慶應義塾大学リハビリテーション医学特任准教授)

登録日: 2018-03-26

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半側空間無視(無視)とは,大脳半球損傷の反対側空間の刺激への注意や反応が低下する障害で,脳損傷患者のリハビリテーション(リハ)において重要な機能予後増悪因子である。

『脳卒中治療ガイドライン2015』1)では,「視覚探索訓練,無視空間への手がかりの提示,プリズム適応による治療などが勧められる(グレードB)」とされている。中でもプリズム適応(PA)療法は簡便で,リハアウトカムを改善しうるとして注目されている。

PA療法とは,視野を右に偏倚させるプリズム眼鏡を着用し,上肢の軌跡を隠した状態で前方の目標点に対してリーチ動作を行う方法である。最初の数回は視覚的に認知される目標の位置と上肢の動きが一致せず,目標とずれた点に向かってリーチするが,動作を繰り返すと正確に目標に向かってリーチできる。PA療法の効果は,机上検査の改善だけでなく,日常生活上の様々な動作へ汎化する。また,PA療法と回復期の集中的リハの併用で,より高いリハ効果を得られると報告されている2)。大掛かりな装置は不要で,比較的少ない回数の治療で効果が長く持続し,臨床応用可能な方法である。

【文献】

1) 日本脳卒中学会脳卒中ガイドライン委員会, 編:脳卒中治療ガイドライン2015. 協和企画, 2015, p309-12.

2) Mizuno K, et al:Neurorehabil Neural Repair. 2011;25(8):711-20.

【解説】

水野勝広 慶應義塾大学リハビリテーション医学特任准教授

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