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小児・AYA世代のがん医療・支援のあるべき姿とは?(堀部敬三 名古屋医療センター臨床研究センター長)【この人に聞きたい】

No.4894 (2018年02月10日発行) P.8

堀部敬三 (名古屋医療センター臨床研究センター長)

登録日: 2018-02-09

最終更新日: 2018-02-08

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AYA世代の患者には特有の悩みがある
精神的・社会的支援が必要という
認識を持つことが支援の第一歩

 

ほりべ けいぞう:1978年名大卒。米スローンケタリング記念がんセンターリサーチフェロー、名大小児科助教授を経て、2001年より国立名古屋病院(現・名古屋医療センター)小児科医長。04年より現職。厚生労働省「小児・AYA世代のがん医療・支援のあり方に関する検討会」座長

昨年10月に閣議決定された「第3期がん対策推進基本計画」で、小児・AYA(思春期・若年成人)世代のがん患者支援が、取り組むべき施策の1つに位置づけられた。昨年12月にスタートした「小児・AYA世代のがん医療・支援のあり方に関する検討会」座長の堀部敬三氏に、小児・AYA世代のがん医療・支援の課題を聞いた。

─小児・AYA世代のがん医療・支援の課題を教えてください。

2007年にがん対策基本法が施行され、12年にスタートした第2期のがん対策推進基本計画では、小児がん対策や働く世代の就労支援が盛り込まれました。この10年で取り残された課題の1つが、AYA世代のがん対策です。

特に、子どもから大人になって社会に出る時期にがんになった、15歳から20代前半の患者に対する精神的、社会的な支援が現状では抜け落ちています。がんになった後に就職するのは大変ですし、40歳未満は介護が必要な状態になっても介護保険が使えないといった問題もあります。

最大の不安は将来のこと

私が責任者を務める厚生労働省の研究(総合的な思春期・若年成人〔AYA〕世代のがん対策のあり方に関する研究)班で、AYA世代がん患者に関する包括的実態調査を行いました。その一環で行ったがん患者200人を対象にした調査では、15〜24歳の人は、診断・治療に対する悩みよりも、「今後の自分の将来のこと」「学業や仕事のこと」に不安を感じている人の割合が高いことが分かりました。AYA世代の患者の悩みは多岐にわたり、個々のニーズに応じた包括的な支援が必要です。

一方、がん診療連携拠点病院と小児がん拠点病院を対象にした患者数調査では、拠点病院でさえ、15〜19歳、20〜24歳のがん患者の年間症例数がそれぞれ2〜3例のところが多い実態が明らかになりました。医療機関あたりのAYA世代のがん患者数が少ないために、医療従事者が支援に関する知識や経験を蓄積しにくいという問題もあるわけです。

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