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(2)精神疾患・てんかんに対する 脳刺激療法 [特集:脳刺激療法で治療できる症状・疾患]

No.4798 (2016年04月09日発行) P.29

杉山憲嗣 (浜松医科大学医学部脳神経外科准教授/同大学医学部附属病院脳神経外科病院教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2021-01-05

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  • 精神疾患,てんかんの成因は中枢神経内のループ回路障害である,とのとらえ方がある。脳深部刺激療法(DBS)はこれらのループ回路障害に対する治療法で,脳神経刺激,脊髄刺激なども含めて,「ニューロモデュレーション療法」と総称されることもある

    うつ病に対する脳刺激療法として,わが国で現在行われているのは修正型電気痙攣療法(mECT)のみであるが,そのほかに反復経頭蓋磁気刺激(rTMS),DBS,脳神経刺激の迷走神経刺激(VNS)などがあり,rTMS, VNSは米国食品医薬品局(FDA)の認可を得ている

    強迫性障害に対する脳刺激療法として,わが国で認可されているものはないが,DBSはFDAの認可を得ており,欧州でもCEマークを取得している

    てんかんに対して行われている脳刺激療法で,わが国で保険収載されているのは脳神経刺激のVNSのみであるが,そのほかに,視床(ANT,CM),海馬などのDBS,小脳刺激などがあり,ANT-DBSは欧州でCEマークを取得している。また,オンデマンド型脳刺激(RNS)による治療はFDAで認可を受けた

    1. 中枢神経内ループ回路障害治療法としての脳刺激療法

    現在,脳深部刺激療法(deep brain stimulation:DBS)は中枢神経内ループ回路障害の治療法とみなされるようになった。今まで難治性と言われていた中枢神経障害をループ回路障害の観点から再発見する作業が全世界的に行われており,これらの障害に対してDBSが試行されている。一方,1980年代から開発が進んだ反復経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation:rTMS)によって,制限はあるものの大脳皮質は手術を要さずに刺激ができるようになり,これを利用して大脳皮質を含んだ回路障害の治療も行われるようになった(図1)。また,迷走神経刺激(vagus nerve stimulation:VNS)や,修正型電気痙攣療法(modified electroconvulsive therapy:mECT)なども加わり,全体としてニューロモデュレーション療法と総称されるようになっている。
    VNSは,わが国でてんかんに対し保険収載され,米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)ではうつ病に対しても認可されているが,「脳神経刺激」であるため本稿では割愛する。また,上記の手技以外にも,経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct current stimulation:tDCS),磁気痙攣療法(magnetic seizure therapy:MST)なども存在するが,こちらも本稿では割愛する。

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