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最近思うこと[炉辺閑話]

No.4889 (2018年01月06日発行) P.118

松山幸弘 (浜松医科大学附属病院病院長)

登録日: 2018-01-08

最終更新日: 2017-12-21

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光陰矢の如し。本当に時間が経つのが早い。あっという間の7年間であった、というか、気がついたら7年も経っていたといった感じだ。

月曜日、一日外来。長い外来でも外来は楽しい。話を聞いてあげることが大切だ。患者さんから教わることも、勇気をもらうこともある。10時間の外来が終われば人と面会。そして症例カンファレンスでは、病棟症例、外来症例、手術方針など、脊椎班で討論する。

火曜日、大学の自分の部屋へは朝5時半過ぎには到着する。物音一つしない。この静けさがいい。自分だけの時間だ。朝7時からの術前ケースカンファレンスでは、意見を述べる医局員が少ない。もっと積極的に意見を発言してほしい。私の意見はできる限り少なくしたい。カンファレンスが終わると手術室へ向かう。術野の様子を背部からみる。展開が美しいか、出血はコントロールされているか、のみの使い方、パンチの使い方、手術のスピード。気になるところはすべて伝える。

良い手術とは、解剖学的ランドマークがしっかりexposeされ、出血はコントロールされ、手際よく、安全に進められている手術だ。起承転結、展開はできる限り早く、脊髄除圧は慎重に、矯正は山場で、創縫合は素早く、である。手術には音楽やドラマのように抑揚がないといけない。科学であると同時に芸術である。良い手術の後は、心地よい疲労感が広がる。

19時からの医局会では、抄読会、薬の説明会、学会発表の予行。その後、関連病院から集まった医局員とそれぞれ専門分野での症例検討、カンファレンスが始まる。楽しい雰囲気で研究できることが大切だ。

水曜日、手術や会議に時間が費やされる。役員会、教授会、執行部会、そして診療科長会議、さらにMMカンファレンスなど、多種多様な会議が続く。

木曜日、50件ほどの新着メールの処理の後、手術術後症例の検討、病棟患者の検討会。また、ポリクリ学生には症例のプレゼンテーションをしてもらい、評価する。症例報告の練習は、学生が医師になってからも必ず役に立つ。それに加えて執行部会、病院運営企画室会議など目白押し。

医局員とdiscussionを多くしたい。良い点をほめ、改善点があった場合、その部分を攻めるネガティブな意見ではなく、ポジティブな意見を述べたい。

学会でも同様で、質問にはその人の人柄が現れる。発表者にまず敬意を払い、そしてポジティブな質問をする。これが美しい。また、聴衆も気持ちよく、そしてその人を注目する。積極的によい質問をしてほしい。

8時半からの総回診では、患者さんの顔色を見ること、困ったことを聞くことが大切。9時半には外来へ、13時半には手術室へ。月に1度教授会があるが、手術場からどうしても離れられず、出られないこともある。後輩たちに任せられる時を待とう。

金曜日、研究会、脊椎脊髄病学会の委員会、日整会関連の委員会、そして浜整会などのうち、必ず1つは入る。研究会、講演会などは、土曜日までかかることが多い。

こんなに多いのに、なぜ講演も引き受けるのか? 仕事は、頼まれているときが花だ。断ったら二度とチャンスはこない。断る時は倒れた時。仕事は少々オーバーなのがよい。その人のキャパシティーが広がる。自分の能力を信じて、そして無理と思わないことが大切。前に進めば、きっとなんとかなる。いくら忙しくても死ぬことはない。楽天家でいることが大切と思う。

忘れがちだが、忘れてはならない大切なことがある。それは、今自分が仕事に没頭できるのは、家族の支えのお陰であること、である。できる限り時間をつくって家族との時間を大切にすること。これを忘れてはいけない。第一は家族であり、常に感謝の気持ちを忘れずに。

強く自分にも言い聞かせよう。

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