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鳥取ことばは愉し─その特色[炉辺閑話]

No.4889 (2018年01月06日発行) P.113

山根俊夫 (松江市)

登録日: 2018-01-07

最終更新日: 2017-12-21

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お前どがするツゴウだいや?

「今日はどうもツゴウが悪いけど、まアなんとかして行くツゴウですけえ、例のところで待っとってつかんせえ」

この鳥取弁を聞いた関東の人、小首をかしげて私に訴えることには、「どこで使うかの場面からよくわかるけど、“行くツゴウです”のツゴウっていうのは何ですか?奇妙な用法ですね」

まさしくその通りです。

この地方独特の使い方と言えよう。「お前どうするつもりだ?」を、鳥取では「お前どがするツゴウだいや?」と言う。「ツモリ」の代わりに「ツゴウ」を使っている。「ツモリ」は「積もる」の連用名詞形で「飲んだツモリで酔ったツモリになったツモリだ」などと使える。鳥取ではこれをそっくり「ツゴウ」で表現できるはずである。

「ツゴウ」は「都合」と書くが、どうも当て字くさい。全国共通語としての用法は、①なんとか5万円ツゴウしてきた(やりくり算段の意)、②ツゴウ5万円とちょっとになった(合計の意)、③ツゴウが悪い(具合、状態の意)、ぐらいのものであろう。

「~するツゴウだ」(~するツモリだ)は、他地方では通用しない。

ことばそのものは、同型を保ちながら地方によって内容が変質してしまっているものが、何かの機会に表面化してくるのはこわいような気がする。

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