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糖尿病神経障害の診断と治療の進め方【「糖尿病性多発神経障害の簡易診断基準案」に基づき診断。治療は血糖コントロールが主体】

No.4871 (2017年09月02日発行) P.56

矢部大介 (関西電力医学研究所副所長/京都大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌・栄養内科学特定准教授)

神谷英紀 (愛知医科大学医学部内科学講座糖尿病内科准教授)

登録日: 2017-08-30

最終更新日: 2017-08-29

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  • 糖尿病神経障害は,糖尿病網膜症,糖尿病腎症とならび三大合併症と言われ,中でも最も頻度が高く症状も早期に現れます。しかし,糖尿病神経障害の診断や治療の進め方は必ずしも周知されていません。日常臨床で実践可能な糖尿病神経障害の診断と治療の進め方についてご教授下さい。愛知医科大学・神谷英紀先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    矢部大介 関西電力医学研究所副所長/京都大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌・栄養内科学特定准教授


    【回答】

    糖尿病神経障害は,糖尿病網膜症および糖尿病腎症とともに頻度の高い細小血管障害であり,早期から生じる合併症です。糖尿病神経障害を早期に診断し治療を行っていくのは大変重要なことですが,糖尿病神経障害の診断は糖尿病網膜症や糖尿病腎症と比べてやや複雑で定量性も優れないため,日常臨床で十分に行われていないのが現状です。

    糖尿病神経障害の診断において,わが国では「糖尿病性神経障害を考える会」が提唱している「糖尿病性多発神経障害の簡易診断基準案」は妥当性が高く,日常診療に使用しうるとされています。この簡易診断基準案に基づくと,①糖尿病が存在すること,②糖尿病性神経障害以外の末梢神経障害を否定しうること,が必須項目として挙げられています。また,条件項目として①糖尿病性多発神経障害に基づくと思われる自覚症状,②両側アキレス腱反射の低下あるいは消失,③両側内踝の振動覚低下,が挙げられ,この3つの中の2つを満たせば糖尿病神経障害ありと診断します。この診断法は,ベッドサイドで比較的容易に行える方法としては,感度68%,特異度74%と優れた診断法と言えます。

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