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中国で効果を上げる日本式糖尿病医療の有用性とは?(飯塚陽子)【この人に聞きたい】

No.4868 (2017年08月12日発行) P.8

登録日: 2017-08-10

最終更新日: 2017-08-09

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  • 医療に国境はなく、チームで
    患者のモチベーションを上げる日本式治療は
    糖尿病患者が激増する中国・アジア諸国を救う

    〔略歴〕1969年中国生まれ。16歳の時に来日。94年東大卒。国際診療・両立支援推進委員会委員、日中医学協会広報委員会委員、経済産業省国際医療交流調査研究事業委員。2014年第10回中曽根康弘賞奨励賞受賞

    糖尿病患者数が世界一多い中国で、日本式糖尿病医療の導入が進みつつある。2011年から中国で日本式糖尿病チーム医療を行うプロジェクトを推進する、東京大学糖尿病・代謝内科特任講師の飯塚陽子氏に、その効果と今後の展望を聞いた。

    ─なぜ日本式の糖尿病医療を中国に導入しようと考えたのですか。

    きっかけは、2010年4月に中国で、門脇孝教授の代理で日本の糖尿病医療について講演し、同国の臨床現場を見学したことでした。

    私が見学したのは中国トップレベルの病院だったのですが、糖尿病治療は医師のトップダウンで薬物療法が中心でした。

    最初に食事療法と運動療法、生活習慣の改善を行い、医師、看護師、栄養士、薬剤師などが専門性を生かして患者のモチベーションを引き出す「チーム医療」が基本の日本とは違いが大き過ぎてショックでした。

    帰国後、経産省が医療サービス国際化推進事業を公募していることを知り、「日本式糖尿病診療サービスの中国展開に関する調査」を始めることになったのです。

    患者の満足度は高く血糖値、肥満も有意に改善

    ─中国での成果を教えてください。

    2011年度に上海の大学病院で5回、計9日間、「日本式糖尿病クリニック」を開設しました。中国人の糖尿病患者に対して、医師の診療、看護師による糖尿病教育とフットケア指導、栄養士による栄養指導、自己血糖測定の指導などを無償で行いました。

    日本式糖尿病サービスは非常に好評で、回数を重ねるごとに口コミで患者さんが増えました。上海の病院で260人の中国人患者を対象に実施したアンケートでは、8割以上の人が「糖尿病への知識・理解が深まった」「有酸素運動が増加」と回答し、有償でもサービスを受けたいと答えてくれました。

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