国立国際医療研究センター国際感染症センターの忽那賢志氏が20日、都内で講演し、「かぜに対して慣例的に抗菌薬を処方している例が稀ではない」と指摘し、抗菌薬の適正使用に関して医師に啓発する重要性を強調した。
講演は、日本ベクトン・ディッキンソン社主催のメディアセミナー「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン策定から1年」で行われた。
忽那氏はAMR対策における医療従事者の課題として、不適切な抗菌薬処方が多い現状を問題視。その要因として、「細菌性の合併症を恐れて処方している例が多いが、その根拠は乏しい」と指摘した。
さらに忽那氏は、かぜに抗菌薬を投与する利益と不利益を検証した論文(Meropol SB, et al:Ann Fam Med. 2013;11(2):165-72.)によると、1万2255回抗菌薬を処方することで1回の肺炎を防ぐことを紹介。一方、抗菌薬の副作用の頻度は、アナフィラキシーショックが1万分の1、発疹は100分の1、下痢は10分の1であることを説明し、「かぜに対する抗菌薬投与はむしろデメリットのほうが多い」と話した。慣例的に抗菌薬が投与されている背景については、「日本ではこれまで、医学部で感染症診療の教育を受ける機会が乏しかったため、感染症に精通する医師は多くない」と指摘し、「医師への教育・啓発が課題」と強調した。