株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

(1)抗癌剤・分子標的治療の進歩 [特集:消化管癌外科治療における化学療法]

No.4753 (2015年05月30日発行) P.18

佐藤太郎 (大阪大学大学院医学系研究科消化器癌先進化学療法開発学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-17

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • next
  • 大腸癌で抗EGFR抗体薬,抗VEGF抗体薬を上手に使いわけると,OS改善につながる

    胃癌においてもトラスツズマブ,ラムシルマブが導入されてきた

    バイオマーカーによる個別化で,より適切な治療が選択される

    1. 大腸癌における話題

    切除不能と判断された転移・再発大腸癌の予後は約8カ月であり,現状では治癒させることはできないが,PS0~2の症例を対象とした第3相試験において,抗癌剤を用いない対症療法と比較し,化学療法群に生存期間の有意な延長が検証されており,現在の化学療法の生存期間中央値は30カ月に到達している(表1)1)〜3)。化学療法の目標は腫瘍増大を遅延させて症状コントロールを行うことであるが,症例によっては切除可能となり,長期生存が得られる場合があるため,切除可能性を念頭に置いた対応が必要となる。また,三次,四次治療,それ以降も念頭に置いた治療が可能になった。
    大腸癌の化学療法の問題は,抗EGFR抗体薬と抗VEGF抗体薬のどちらが,より生存期間延長に寄与するかであった。2013~14年にかけて抗VEGF抗体薬ベバシズマブ(アバスチン1397904493),抗EGFR抗体薬セツキシマブ(アービタックス1397904493)およびパニツムマブ(ベクティビックス1397904493)の有効性や安全性を直接比較した結果が報告されてきており,現時点で明確にどちらが良いというエビデンスとはなりえないが,今後使いわけの方針が明らかになることが期待される。その3つの試験を紹介する。

    1 FIRE-3試験1)

    ドイツのAIOグループが行った,世界初のセツキシマブとベバシズマブを直接比較した第3相試験である。KRAS codon12, 13野生型においてFOLFIRI〔フルオロウラシル(5-FU)+ℓ-ロイコボリン(LV)+イリノテカン(CPT-11)〕+セツキシマブ群がFOL FIRI+ベバシズマブ群に対して全生存期間(OS)の中央値で3.7カ月の差を出して有意な延長を示した。KRASのcodon12, 13以外の変異や,同じRASファミリーであるNRASの変異を除くこと(RAS野生型)で,より効果が期待できる対象群が絞り込めることが期待され,RAS野生型においてFOLFIRI+セツキシマブ群がFOLFIRI+ベバシズマブ群に対しOSのハザード比(HR)0.7,中央値で7.5カ月の差を出し,OSの改善傾向を示す結果となった。しかしながら,この試験は主要評価項目が主治医判定による奏効率で,これは両群に有意差が認められなかったため,試験の結果の解釈を難しくしている。

    残り5,371文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top