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Ⅳ期非小細胞肺癌に対する分子標的薬やがん免疫療法と放射線療法との併用の可能性【一次治療後,数個以下の残存または再増大した腫瘍に有用。abscopal effectも注目を集める】

No.4861 (2017年06月24日発行) P.57

中山優子 (神奈川県立がんセンター放射線治療科部長)

早川和重 (北里大学病院放射線治療科科長/副院長)

登録日: 2017-06-22

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  • 近年,Ⅳ期非小細胞肺癌に対する治療において,分子標的薬やがん免疫療法など,次々に新しいエビデンスが創出されています。これらと放射線療法との併用の可能性はあるでしょうか。また,どのような症例が適応となるでしょうか。北里大学病院・早川和重先生にご教示をお願いしたいと存じます。

    【質問者】

    中山優子 神奈川県立がんセンター放射線治療科部長


    【回答】

    特定のドライバー遺伝子異常を特異的に阻害する分子標的薬,さらには免疫チェックポイント阻害薬が次々と開発され,Ⅳ期非小細胞肺癌の治療成績は飛躍的に向上しました。これらの薬剤はコンパニオン診断の確立とともに診療ガイドラインでもⅣ期非小細胞肺癌の一次治療として推奨されるようになっています。ただし,これら薬剤に共通の有害事象として死亡に至るような重篤な間質性肺炎のリスクがあり,放射線治療との同時併用は慎重に検討されなければなりません1)

    一方,分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬を一次治療で用いた後に数個以下(特に孤立性)の病巣が残存あるいは再増大した場合に,局所治療として放射線治療を行うことの利益が報告されています2)。Ⅳ期の場合,初回治療時あるいは一次治療後に転位巣が少ない症例は,多くの場所で宿主が腫瘍を抑え込んでいると解釈できます。したがって,宿主が腫瘍に負けている病巣に対して局所治療を加えることは理にかなった考え方と言えます。

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