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終末期医療とDNAR[プラタナス]

No.4855 (2017年05月13日発行) P.1

小西竜太 (関東労災病院救急総合診療科部長/経営戦略室室長)

登録日: 2017-05-12

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  • 帝王切開術後2日目に肺塞栓による心停止で救急転送された20歳代女性。肺動脈主幹部血栓(写真左)に対して血管内治療を行い、何とか心拍再開に成功した(写真右)が、重度の蘇生後低酸素脳症となり予後は非常に厳しい状況であった。

    15年前の当時、私は約30名の入院患者を抱える2年目内科研修医で、この方のベッドサイドで多くの時間を過ごした。何台もの人工呼吸器やモニターからアラーム音が常に鳴り続け、病棟スタッフは慢性的に疲弊して、「有効な治療ができない患者に対して、どこまで治療するのか」「この患者をどこまで診るのか」というような言葉が日常的に飛び交っていた。まだ臨床経験の乏しい私が、奇跡を信じているご主人に対して終末期医療の話をするのは正直辛かったが、医学的適応、スタッフからのプレッシャー、病棟業務を回さなければならないという自負から、今後、心停止時には蘇生処置は行わないという方針説明をして、カルテにDNAR(do not attempt resuscitation)と記載した。私はメモ帳にある患者リストの優先順位を書き直し、看護師は喉の奥に刺さった小骨が取れたように病室からのプレッシャーを軽く感じるようになった。はたして、その日を境に私の訪室する回数・時間は少なくなり、看護師のケアは量・質ともに減り、ご主人には挨拶と簡単な報告をする程度になっていった。

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