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急性細気管支炎にβ2刺激薬が適応とならない理由は?【平滑筋収縮でなく物理的閉塞が主体のため】

No.4855 (2017年05月13日発行) P.60

新井田麻美 (多摩北部医療センター小児科医長)

登録日: 2017-05-10

最終更新日: 2017-05-09

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  • ツロブテロール(ホクナリン®)の適応に「急性気管支炎」があり,これまで使用してきました。しかし,No.4828,37ページにβ2刺激薬は急性細気管支炎には無効とあります。“細”気管支炎だから無効なのでしょうか。理由も併せ,著者の多摩北部医療センター・新井田麻美先生のご教示をお願いします。

    (大阪府 C)


    【回答】

    気管支拡張薬には,吸入薬,内服薬,貼付薬がありますが,一般的なβ2刺激薬は表1のように分類されています。吸入薬は短時間作用性のものが多く,直接気管支に作用し即効性を発揮します。内服薬・貼付薬は長時間作用性のものが多く,即効性は劣りますが作用が長く持続します。小児の急性細気管支炎における効果に関しては,使用法に応じて「内服薬と貼付薬」と「吸入薬」でわけて考えられています。



    ウイルス感染に伴う急性細気管支炎は,細気管支を中心とした急性炎症性の閉塞性疾患です。粘膜上皮の損傷,脱落,炎症細胞浸潤,間質浮腫,粘液分泌増加により細気管支腔が狭小化し,末梢気道でair trappingが起こり,閉塞性の呼吸障害をきたします。喘息発作などでは,収縮している気管支平滑筋を,プロカテロールやサルブタモールといったβ2刺激薬が拡張することによって効果を発揮しますが,急性細気管支炎では,気管支平滑筋の収縮より間質の浮腫や,脱落した細胞や粘液栓による物理的閉塞が主体であるため,効果は劣ると考えられます。

    気管支拡張薬の効果に関しては,使用法に応じて以下のように報告されています。

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