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脳脊髄液減少症によるめまい【特徴的な所見が少なく,診断には造影MRIなどが必要】

No.4853 (2017年04月29日発行) P.55

峯田周幸 (浜松医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授)

細川誠二 (浜松医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科准教授)

登録日: 2017-04-27

最終更新日: 2021-01-06

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脳脊髄液減少症は脳脊髄液の漏出によって多彩な症状を起こす疾患である。起立時の頭痛を特徴とし,2004年に国際頭痛分類で「特発性低髄液圧性頭痛」として取り入れられた。07年に脳脊髄液減少症研究会から『脳脊髄液減少症ガイドライン』が示され,11年に厚生労働省より,①脳脊髄液漏出症の画像判定基準,画像診断基準,②低髄液圧症候群の画像判定基準,診断基準が示された。

頭痛以外にもいろいろな症状(めまい,耳鳴り,視機能障害,倦怠,易疲労感など)を呈し,不定愁訴の集まりのような状態を示す。その中でめまいやふらつきを訴えることも多い。回転性めまいを訴えることはなく,ほとんどはふらつきである。特徴的な眼振はないが,ocular flutter(持続時間が短く速い水平性の振子様運動)によく似た自律性の異常眼球運動をみることもある。起立時や仰臥位での眼振の変化はない。光過敏を訴え,瞬きも多いため,丁寧にゆっくり観察することが大切である。この異常眼球運動は安静や補液によって消失したことはなく,自験例はすべてブラッドパッチを施行している。ほかの平衡機能検査でも特徴的な所見はなく,異常を示さないことが多い。

本疾患の診断は造影MRI,CTミエログラフィー,脳槽シンチグラフィーなどで行われる。漏出像が特定できれば確実であるが,MRIで脳の下垂や硬膜の肥厚などを確認する。類似した疾患に外リンパ瘻がある。中耳への外リンパの漏出であり,外リンパ腔はくも膜下腔につながっていることから同列の疾患にも思えるが,診断(CTP測定)や治療(試験的鼓室開放術)も異なることから注意する。

【解説】

峯田周幸*1,細川誠二*2  *1浜松医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授  *2同准教授

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