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小児がんの集学的治療【全国統一のデータセンター,中央診断システムの確立により,新規治療法の導入が活発に】

No.4853 (2017年04月29日発行) P.54

鶴田敏久 (東京女子医科大学小児科准教授)

登録日: 2017-04-26

最終更新日: 2017-04-21

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2015年6月,日本小児がん研究グループ(JCC G)の発足に伴い,わが国における小児がん治療体制は大きく変わりつつある。

小児がん診療では,白血病やリンパ腫に代表される血液悪性腫瘍,神経芽腫,腎腫瘍,肝腫瘍,横紋筋肉腫,ユーイング肉腫,脳腫瘍,胚細胞腫瘍など独自の研究グループがあり,多施設共同研究により治療成績の向上が行われてきた。JCCGの設立により全国統一したデータセンターや,遺伝子診断を含めた中央診断のシステムが確立し,新しい治療法の導入も活発となり,国内だけでなく国際共同治験も進行中である。

近年,成人がんでは免疫療法が脚光を浴び,手術療法,放射線療法,化学療法に次ぐ第4の治療として地位を確立しつつある。その中でもPD-1,PD-L1阻害薬に代表される免疫チェックポイント阻害薬や,キメラ抗原受容体発現T細胞療法(CAR-T)は,多くのがんに対しての効果が期待されている。化学療法に関しても各種がん抗原をターゲットとしたモノクローナル抗体や,シグナル伝達経路の特定分子を標的としたチロシンキナーゼ阻害薬などが数多く開発され,ファーストラインの治療に導入されている。

小児がんは成人がんに比較し化学療法が効きやすく,その治療成績も良いことが知られているが,新しい治療体制の確立により,治療成績だけでなくフォローアップ体制なども向上していくものと期待される。

【参考】

▶ 日本小児がん研究グループ(JCCG). [http://jccg.jp/]

【解説】

鶴田敏久 東京女子医科大学小児科准教授

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