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(23)高齢者─最近,通院しなくなった 施設入所時から易怒性亢進。認知症も伴い,診療を拒否している認知症患者[特集:困った患者の生活習慣指導]

No.4722 (2014年10月25日発行) P.124

編集: 津下一代 (あいち健康の森健康科学総合センター センター長)

杉浦大介 (笑顔のおうちクリニックさいたま院長)

杉浦立尚 (笑顔のおうちクリニック名古屋院長)

登録日: 2016-09-01

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  • 病歴
    病歴: 84歳,女性。主婦。
    3年前から認知症が進行。夫は2年前から歩行障害と記銘力障害が進行し,老々介護による夫婦での自宅生活が困難となった。また,かかりつけの医療機関への通院も途切れ,内服管理もできなくなり,見兼ねた遠方の次男が両親の在宅生活は困難と判断し,「少しの期間,身体検査をする」という名目で,次男宅近くのサービス付高齢者施設に入居となった。施設では各自部屋を借りていたが,患者は常に夫の部屋で生活していた。易怒性が強く,診療を拒否している。
    既往歴はアルツハイマー型認知症,高血圧症,脂質異常症。採血:正常範囲内。家族歴:特記事項なし。喫煙歴:なし。飲酒歴:なし。

    1. 医師はどのような点に困っているのか?

    問題点
    ▶夫婦ともに易怒性があり,診察拒否や介護拒否がたびたびあった
    ▶夫婦同室で生活をしている

    患者夫婦に医療の必要性を説明し,診察を行う旨を伝えても「田舎に帰って○○医院で診てもらうからいい」などと興奮して怒り出してしまい,夫婦そろって診療が不可能なことがあった。また,時には施設スタッフのみならず家族,夫に対する暴力行為や何日も部屋に閉じこもり夫婦そろって風呂に入らないなどの介護拒否もあった。

    2. 困難となる患者の状況をどう整理するのか?

    (1)患者夫婦の認知症について考察する

    患者の画像所見では前頭葉と両側海馬の萎縮を指摘されており,記銘力障害が主体であることからアルツハイマー型認知症と診断された。夫は糖尿病,アルコール多飲歴があり,認知症精査の際に暴れてしまったため検査中断となったが,前頭葉症状が主体で発語は少なく,自発性の低下が認められる。

    (2)患者の易怒性が増悪した因子を考察する

    約1年の経過中に患者の易怒性が増悪した因子としては,施設リビングフロアでの診察,多人数での診察,白衣未着用での診察,患者に聞こえない場所での会話,夫の病状悪化や女性スタッフによる介助行為があった。

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