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(18)禁煙─生活習慣改善に拒否的 健康障害の原因はアルコールなのに,控える目標が立てられない[特集:困った患者の生活習慣指導]

No.4722 (2014年10月25日発行) P.99

編集: 津下一代 (あいち健康の森健康科学総合センター センター長)

真栄里 仁 (国立病院機構久里浜医療センター精神科/教育情報部長)

樋口 進 (国立病院機構久里浜医療センター院長)

登録日: 2016-09-01

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  • 病歴(検査データは異常値のみ)
    48歳,男性。電気メーカー勤務(課長)。
    就職後より,週に1~2回付き合いで飲酒するようになる。35歳頃からは,自宅でビールロング缶(アルコール濃度5%,500mL)3本を毎日飲んでいる。それ以外でも,週に1回は同僚や上司と仕事帰りに飲みに行き,ビール中ジョッキ2杯,日本酒3合を飲んでいるが,飲酒問題を自覚したり指摘されたことはない。
    昨年までの健康診断でもたびたび肥満と高血圧は指摘されていたが,放置していた。しかし今回の健診では,肥満(身長160cm,体重82kg,BMI 32.0,腹囲90cm),高血圧(153/90mmHg)に加え,高中性脂肪血症(TG 180mg/dL),肝機能障害(AST 54IU/L,ALT 38IU/L,γ-GTP 96IU/L)を指摘されたこともあり,自ら医療機関を受診した。
    家族歴:特記事項なし
    喫煙:20歳より喫煙(10本/日)していたが,42歳時に禁煙。

    1. 医師はどのような点に困っているのか?

    問題点
    ▶過量飲酒が健康問題を引き起こしている
    ▶減酒に消極的

    初診時,健診結果を気にしていることを自ら訴えたが,医師より飲酒量が多いことが検査値の異常に影響を与えていることを説明したところ,「家に帰った時のビールが唯一の趣味だし,周りと比べても量が多いわけではない」「検査値異常はあるが,日常生活に支障はない。それに薬で下がるんでしょう?」「昨年の健診後に禁酒したが1週間で元に戻った。減らすのも,どうせできるわけない」と減酒に消極的な態度を示し,薬物療法を希望した。
    患者の希望通りに処方したほうがよかったのであろうか?

    2. 困難となる患者の状況をどう整理するか?

    (1)過量飲酒に起因する健康問題への否認

    飲み過ぎによる肝酵素などの異常については認めてはいるが,その一方で,日常生活に支障がないことを強調したり,周囲の飲酒者と比較したりすることで問題を矮小化しようとする。

    (2)過大な目標設定と自己効力感の低下

    昨年,禁酒に挑戦して失敗したことから,節酒もできないと考えている。

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