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(5)健診─TG高値の改善が困難 健診で毎回TG高値を指摘されるが,「生活習慣改善します」と言うのみで改善がみられない[特集:困った患者の生活習慣指導]

No.4722 (2014年10月25日発行) P.36

編集: 津下一代 (あいち健康の森健康科学総合センター センター長)

加藤綾子 (あいち健康の森健康科学総合センター健康開発部専門員)

登録日: 2016-09-01

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  • 病歴(検査データは異常値のみ)
    46歳,独身男性。病院勤務。
    会社健診にて毎回TG 400~500mg /dL程度を指摘。身長173.2cm,体重103.5kg,BMI 34.5,安静時血圧136/99mmHg,空腹時血糖103mg/dL,LDL-C 151 mg/dL。会社健診にて高血圧,脂質異常症を指摘され,生活習慣改善と定期的な検査を勧められている。
    減量のために食生活改善を実施している。両親との3人暮らしで母親の協力があり,食事は野菜中心にするよう心掛けており,食事量も大盛りにならないようにご飯の量も計測して出されている。しかし,体重減量が困難であり血液検査値の改善は認められない。家庭血圧計で血圧測定しており,朝晩120~130/80~90mmHg程度である。
    家族歴:特記すべきことなし。飲酒:なし。喫煙:なし。
    運動:自転車通勤片道10分を往復。週3回程度はバスを使わず徒歩30分に替えている。食生活:3食摂っているが,繁忙時の夜は外食中心。基本的には朝,夕は自宅で,昼はお弁当を持参する。

    1. 医師はどのような点に困っているのか?

    問題点
    ▶食事改善しているとのことだが,脂質改善,減量を認めない
    ▶生活習慣改善に向けてのモチベーションが感じられない

    現在までの健診経過より,BMI高値,TG高値から食事量,食事内容改善が必要であり,経過観察のため2カ月後に再検査が必要と説明した。以前より健診にて食事内容の変更を意識しており,検査での経過観察に前向きである。しかし,2カ月後の検査でも改善を認めなかったため,1カ月後に再面談とした。
    初回の食事内容確認が不十分であったのだろうか?
    モチベーションの低さについてはどう考えるべきだろうか?

    2. 困難となる患者の状況をどう整理するのか?

    (1)患者─医師の信頼関係

    受診時には,食事や運動の改善の発言を認めるものの,モチベーションの低さに触れて会話をしていないため,現段階では良好な信頼関係を得られていない。

    (2)脂質異常症に関する知識

    野菜は毎日食べ,揚げ物は控えており,脂質が高いはずはないと考えている。しかし,健診では要医療と指摘され,不可解に思っている。

    (3)モチベーションの低さ

    独身男性で両親と同居している。趣味は特になく,将来の健康観や人生観についても「特に考えることはない」と話す。

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