株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

(4)健診─やせの脂質異常症への対応 LDL-C高値を改善するために,さらに減量してやせすぎになっている[特集:困った患者の生活習慣指導]

No.4722 (2014年10月25日発行) P.32

編集: 津下一代 (あいち健康の森健康科学総合センター センター長)

村本あき子 (あいち健康の森健康科学総合センター健康開発部 部長)

登録日: 2016-09-01

最終更新日: 2017-04-19

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 病歴(検査データは異常値のみ)
    57歳,女性。主婦。
    昨年の健診結果は,体重52.7kg,BMI 21.9,総コレステロール308mg/dL,LDL-C 185mg/dL ,HDL-C 116mg/dLであった。
    閉経後からLDL-C値が上昇。なんとか生活習慣改善によって減量し,検査値を良くしたいと思い,食生活では野菜を多くしたり,バランス良く,などと気を遣っている。運動は雨の日以外は毎日60分ウォーキングするのに加えて,週2~3日,エアロビクスあるいはアクアビクスを実施。運動しすぎて膝が痛くなることがある。
    今年の健診時,体重50.5kg,BMI 20.9,血圧123/64mmHg,TC 274mg/dL ,LDL-C 166mg/dL ,HDL-C 94mg/dL,空腹時血糖93mg/dL,HbA1c 5.2%。
    過去に一時期,脂質代謝改善薬を服用したが,副作用が出て中断したこともあり,なんとか薬を飲まずに改善したいと話す。
    家族歴:父 高血圧症。飲酒:なし,喫煙:なし。

    1. 医師はどのような点に困っているのか?

    問題点
    ▶運動量は十分で,膝関節痛も出てきており,これ以上増やすのは困難である
    ▶本人は薬物療法を望まず,さらなる生活習慣改善によって減量したいと思っている

    昨年と今年の健診結果を比較しながら,約2kg体重が減り,それに伴ってLDL-C値にも改善がみられることを説明,食事や運動の取り組みが減量につながったことを称賛した。
    「薬は身体に合わないし,飲みたくない。食事と運動で昨年よりLDL-Cも下がったことだし,もう少し自分でがんばって減量したい」との発言があったため,薬剤処方はしなかった。
    すぐにでも薬物治療を始めるべきだったのだろうか? 本人が言うように,さらに減量を勧めるという方針でよいのだろうか?

    2. 困難となる患者の状況をどう整理するのか?

    (1)患者─医師の信頼関係

    継続して受診していることから,信頼されていないわけではないと思う。ただし,過去に脂質代謝改善薬を服用した時期があり,その時に「筋肉がこわばる感じ」を経験したため,薬物治療に対して拒否感がある。

    (2)脂質異常症に関する知識

    LDL-Cは「悪玉」と呼ばれることを知っており,数値を下げたいと思っている。

    (3)経過と患者の「思い」

    昨年に比べて減量を達成し,LDL-C値も下がってきている。さらに減量してなんとかもっと良くしたい,と思っている。

    残り1,708文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top