株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

(3)健診─減量とリバウンド 減量とリバウンドを繰り返している。その気になればいつでも減量できると思っている[特集:困った患者の生活習慣指導]

No.4722 (2014年10月25日発行) P.26

編集: 津下一代 (あいち健康の森健康科学総合センター センター長)

村本あき子 (あいち健康の森健康科学総合センター健康開発部 部長)

登録日: 2016-09-01

最終更新日: 2017-04-19

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 病歴(検査データは異常値のみ)
    36歳,男性。会社員。
    入社時は身体活動量が多い部署に配属されていたが,異動でデスクワーク中心になった。食べる量は若い頃とあまり変わらず,外食時には大盛りを注文することが多い。10年前に比べて体重は約10kg増加した。
    運動は嫌いではないが,仕事が忙しくて実施するのが難しい。職場にはいつも菓子が置いてある。特に生クリームが好き。
    お腹周りが大きくなったことが気になり,何度も減量を試み,1カ月間で7~8kgの減量に成功したことはあるが,長続きしない。
    これまでの減量方法は,キャベツだけダイエット,炭水化物抜きなど。
    身長178.8cm,体重94.0kg,BMI 29.4,腹囲102.2cm,空腹時血糖106mg/dL,HbA1c 6.1%,尿酸7.8mg/dL。
    飲酒:3合以上3回/週(職場で飲み会が多い)。喫煙:なし。運動:なし。

    1. 医師はどのような点に困っているのか?

    問題点
    ▶自分は,やればいつでもできると思っている
    ▶経年で体重は増加傾向にあり,検査値にも異常が出てきている

    このままでいくと,メタボリックシンドロームなど生活習慣病関連の検査値異常が増悪し,服薬も必要になる可能性もあること,今のうちに減量しておくことが望ましいことを説明した。「今まで様々なダイエットをしてきた。どうすれば効果が出るかは自分が一番わかっている」との発言あり。翌年の健診まで経過をみたい,との意見を尊重した。
    もう少し,積極的に介入するべきだったのだろうか?

    2. 困難となる患者の状況をどう整理するのか?

    (1)患者─医師の信頼関係

    「自分はまだ若く,医療機関に世話になる状況ではない」と思っている。信頼関係はまだ構築できていないと思われる。

    (2)減量に関する知識

    これまでに様々なダイエット法を経験し,減量が成功したこともある。「自分は,やればできるのだ」という自信がある。しかしいずれも長続きしていない。いわば,過去の成功体験が邪魔になっている。

    (3)経過と患者の「思い」

    「仕事が忙しく生活習慣改善に取り組む気になれない」と思っている。2~3年前からは検査値異常を指摘されるようになったが,「要受診レベル」は今のところ1つもなく,本人の危機感は薄い。

    残り1,943文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top