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(2)健診─高血圧の受診勧奨 健診で毎回血圧高値を指摘。一生薬を飲まねばならないのではと不安が強く,受診していない[特集:困った患者の生活習慣指導]

No.4722 (2014年10月25日発行) P.21

編集: 津下一代 (あいち健康の森健康科学総合センター センター長)

加藤綾子 (あいち健康の森健康科学総合センター健康開発部専門員)

登録日: 2016-09-01

最終更新日: 2017-04-19

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  • 病歴(検査データは異常値のみ)
    40歳,男性。会社員。
    中学生の頃から安静時血圧140/85mmHg程度。身長171.8cm,体重76.7kg,BMI 26.0,安静時血圧162/106mmHg,健診にて高血圧を指摘され,受診を勧められているが受診歴はない。
    6年前より6kg減量したが,血圧値は改善していない。35歳頃から会社健診にて安静時血圧150~160/90mmHgとなり,運動継続を心掛けている。
    家族歴:父と祖父が高血圧。飲酒:ビール大瓶1本+焼酎600mL(毎日)。喫煙:なし。
    運動:ジョギング1時間(週1~2日)。 食生活:3食摂るが,夜はおかずとお酒。味噌汁は朝1杯だけ。全体的に食事の味付けが濃い。

    1. 医師はどのような点に困っているのか?

    問題点
    ▶継続受診していない
    ▶肥満を有するⅡ度高血圧ではあるが,内服を拒否する

    過去の健診記録と併せ,当日の安静時血圧値を確認し,高血圧の継続的な観察,食事療法,運動強度の変更,薬物療法が必要になる可能性について説明した。産業医や家族からも内服の必要性は聞いているが,「一生薬を飲み続けるのは嫌だ。内服開始する前に自分でなんとかしたい。血圧は測定しにくるから」と,次の約束を1カ月後に設定した。すぐに降圧薬を処方すべきだったのだろうか?

    2. 困難となる患者の状況をどう整理するのか?

    (1)患者─医師の信頼関係

    医師や看護師と話すことは嫌がらず,質問以外にも進んで話をするが,なぜ薬を飲みたくないのかについてはあまり語らず,コミュニケーションはまだ不足しており,今後の信頼関係の構築が重要である。

    (2)高血圧に関する知識

    高血圧が動脈硬化を進める因子であることはわかっている。高血圧改善のために運動継続が大切で,減塩のために味噌汁も控えていると言い,生活習慣改善の意識は高い。しかし,飲酒量や外食が多いことと高血圧の関連についてはまだ意識として結びついておらず,行動改善には至っていない。

    (3)経過と患者の「思い」

    運動,食事にも自分なりに取り組んでおり,努力を続けている。「血圧値は高いが,痛みがあるわけではないので内服治療はまだ必要ない」と思っている。しかし,健診時には「要医療」判定となり,この先このままでよいのか迷いもあった。

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