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ロボットスーツHALの適応拡大に期待 【治験実施の中島氏】

No.4844 (2017年02月25日発行) P.10

登録日: 2017-02-23

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ロボットスーツHALの治験を行う中島孝氏(国立病院機構新潟病院、写真)が14日、筑波大で開かれた第3回つくばロボットスーツHALシンポジウムで講演し、HALの適応拡大に期待を示した。

HAL医療用下肢タイプは昨年4月から緩徐進行性の8神経・筋疾患に対する歩行機能の改善に保険適用(用語解説)されている。同品は患者が筋肉を動かそうした時に皮膚表面に現れる生体電位信号に基づき、下肢の動きを助けつつ歩行運動を繰り返すことで歩行機能を改善する世界初のロボット治療機器。週2回以上の使用が推奨されている。

8疾患の治験を実施し、現在は適応拡大を目指して脊髄疾患を対象にした治験を行う中島氏は、HALが歩行機能の改善に有効な理由について「(両下肢への動作補助によって)患者が意図した動作を正しく繰り返すことで脳のシナプスが強化される」と説明。患者にとって「上手く歩けた」という感覚が成功報酬となり、それが次の成功報酬を予測させ、HALの支援によって疲労を感じることなく、正しい歩行を繰り返すことが可能になるという特徴が「一番のポイント」と解説した。

その上で、「成長・発達期を過ぎてもHALによって脳・神経系を変える可塑性が促進される」と強調。「HALを使用した“サイバニクス治療”は、あらゆる年齢層の急性期、慢性期の病態、難病に対して、医薬品や幹細胞などとの複合療法も有望」と述べ、今後の適応拡大に期待した。

一方、現在の保険点数に関しては、「運転経費がペイしないと、誰も新しい医療技術を開発しなくなってしまう」と懸念を示し、新規開発を促進できるような保険点数の適正化が必要だと指摘した。

【HALの保険適用疾患】:脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、シャルコー・マリー・トゥース病、遠位型ミオパチー、 封入体筋炎、先天性ミオパチー、筋ジストロフィー。推定患者数は3400人。
入院や外来診療費を除く、HALによる歩行運動処置料(保険点数)は(1)初回から9回目までの導入期5週間まで算定できる点数は1回当たり3800点、(3)それ以降は1回当たり1800点―となる

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