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脳梗塞の超急性期治療の最新動向 【rt-PA静注療法を前提としたステント型血栓回収デバイスを用いた経皮的脳血栓回収術の併用療法が主流】

No.4839 (2017年01月21日発行) P.56

西山和利 (北里大学医学部神経内科学主任教授)

神谷雄己 (昭和大学江東豊洲病院脳神経内科准教授)

登録日: 2017-01-18

最終更新日: 2021-01-06

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  • 脳梗塞に対する超急性期の治療として,遺伝子組み換え組織プラスミノーゲン・アクチベーター(recombinant tissue plasminogen activator:rt-PA)静注療法がよく知られていますが,最近は超急性期脳梗塞への血管内治療にもエビデンスがあると聞きます。脳梗塞治療における,rt-PA静注療法や血管内治療の適応,使いわけは,昨今どのように変化してきているのでしょうか。専門家である昭和大学江東豊洲病院・神谷雄己先生にご教示頂きたく,お願いいたします。

    【質問者】

    西山和利 北里大学医学部神経内科学主任教授


    【回答】

    (1)「脳卒中治療ガイドライン 2015」における脳血栓回収デバイスの位置づけ
    最新版である「脳卒中治療ガイドライン 2015」では,発症から4.5時間以内の脳梗塞に対するrt-PA静注療法が,グレードA(行うよう強く勧められる)として推奨されています。

    一方,近年では様々な脳血栓回収デバイスが登場し,2010年にMerci リトリーバー®が,2011年にはPenumbraシステム®がわが国でも承認され,発症から8時間以内の,rt-PA静注療法が適応外もしくは無効の脳主幹動脈閉塞患者に対し,経皮的脳血栓回収術が盛んに行われるようになりました。しかし,rt-PA静注療法に対する血管内治療(単独もしくはrt-PA静注療法に追加)の有効性を検討した3つの比較研究すべてにおいて優位性を示せなかったことが2013年に報告されたことを受け,「脳卒中治療ガイドライン 2015」でも,同療法の推奨はこれまで通り,グレードC1(行うことを考慮してもよいが,十分な科学的根拠がない)とされています。

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