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医療・介護分野のICT活用元年 [お茶の水だより]

No.4838 (2017年01月14日発行) P.13

登録日: 2017-01-12

最終更新日: 2017-01-12

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▶2017年度予算案の審議が20日からの通常国会で始まる。厚生労働省予算案の中で注目されるのが、ICT活用に関する予算の大幅増額だ。例えば、16年度予算は4.3億円だった「NDBデータの利活用及び医療保険分野における番号制度の利活用推進」という施策には201億円が計上された。医療保険のオンライン資格確認システムの開発や、レセプトや特定健診等の情報を地域別に集計した 「NDBオープンデータ」の利活用を促進させる。
▶大幅増額の背景には、ビッグデータや人工知能を生かした新しい医療・介護システムを2020年までに本格稼働させる政府方針がある。安倍晋三首相は昨年11月、官邸で開いた未来投資会議で「健康寿命の延伸」が喫緊の課題であると指摘し、団塊世代が75歳を迎える25年に間に合うよう、データ分析等による「予防・健康管理」「自立支援」に軸足を置いた医療・介護システムを稼働させる方針を表明。その実現のため、「報酬や人員配置基準といった制度改革に踏み込む」と意欲を示した。
▶同じ会議で塩崎恭久厚労相は、ICTを活用して患者個人の医療・介護情報を統合するシステムを20年度から運用する構想を説明。厚労省はその利点の1つとして、国民の健康・医療・介護情報が医師など医療従事者に安全に共有され、誰もがかかりつけ医と連携しながら切れ目のない診療やケアを受けることができるようになるとする。
▶2018年度に控える診療報酬・介護報酬同時改定に向けて、今年は医療と介護の連携に関して活発な議論が展開するだろう。その中で、医療・介護分野のICT活用に関する点数のあり方も重要なテーマの1つになる。医療・介護の質向上に向けて始動するICT活用の議論に注目したい。

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