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原因不明の慢性難治性咳嗽の診断と治療 【従来の咳嗽治療薬に抵抗性で,メカニズムが不明な慢性咳嗽が増加】

No.4832 (2016年12月03日発行) P.50

玉置 淳 (東京女子医科大学内科学第一講座主任教授)

登録日: 2016-11-30

最終更新日: 2016-11-30

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咳嗽は,呼吸器科を受診する患者が訴える,最も高頻度な症状である。このうち,症状が8週間以上続く慢性咳嗽の原因の多くは,咳喘息,喘息,副鼻腔気管支症候群,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD),胃食道逆流症などである。しかし,中には様々な検査を行っても,原因不明で難治性の場合がある。

このような病態は従来,chronic idiopathic cough(慢性特発性咳嗽)と呼ばれていたが,最近の患者数の増加に伴い多くの興味が持たれ,2010年にcough hypersensitivity syndrome(CHS)という概念が提唱され1),さらに16年にはunexplained chronic cough(UCC)と命名された2)

本疾患は,①8週間以上続く咳,②様々な検査で陽性所見なし(好酸球気道炎症なし,気道過敏性の亢進なし),③吸入ステロイド,β2刺激薬が無効,などの特徴を有し,知覚神経C線維の関与が推測されている。また,理由は不明であるが,患者の6〜7割は女性であることが報告されている。

本疾患に対しては,これまでステロイドをはじめ多くの薬剤は無効であり,有効性が認められたのは抗てんかん薬であるガバペンチン(GBP)であった3)。現時点では適応はないが,今後の臨床試験が期待される。

【文献】

1) Morice AH:Lung. 2010;188(Suppl 1):S87-90.

2) Gibson P, et al:Chest. 2016;149(1):27-44.

3) Ryan NM, et al:Lancet. 2012;380(9853):1583-9.

【解説】

玉置 淳 東京女子医科大学内科学第一講座主任教授

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