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医療等IDの具体的な利用例を明示 - 石川常任理事「今後の議論のたたき台に」 [日本医師会]

No.4815 (2016年08月06日発行) P.11

登録日: 2016-08-06

最終更新日: 2016-10-30

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【概要】日本医師会は7月27日、「医療等分野のIDのあり方に関する報告書」を公表し、医療保険のオンライン資格確認や医療圏を超えた診療情報共有など、医療等IDの具体的な利用方法を明示した。日医が提唱する「生涯保健事業の一本化」における活用事例も紹介している。


石川広己常任理事が同日の会見で説明した。報告書は、「医療分野等ID導入に関する検討委員会」(委員長=山本隆一医療情報システム開発センター理事長)が6月にとりまとめたもの。
医療等IDの仕組みや法整備に関する基本的な考え方は表の通り。目的別に複数の医療等IDを付与できる仕組みに関しては、「Key-ID」という概念を提唱した。Key-IDはすべての医療等IDを発番・管理するプラットフォームで、ランダムに生成される、容易に視認できない符号の羅列。外部には出ず、原則として変更できないものと位置づけている。ここから医療保険のオンライン資格確認に用いる「資格確認用番号」や「地域医療連携用ID」など目的別のIDを生成する。
医療等IDの記載媒体としては、現行の保険証を活用。保険証の券面に医療等IDを記載、または二次元コードを貼付することで、医療機関や研究機関等は、オンラインを通じた資格確認用IDとして、そのIDと紐付く医療・介護連携用など目的別の医療等IDを利用できる。
石川常任理事は報告書について、「厚労省の検討会など、今後の議論のたたき台にしたい」との考えを示した。

●日医提唱「生涯保健事業の一本化」にも活用
報告書はまた、日医が提唱している「生涯保健事業の一本化」(乳幼児期から高齢期の健診情報の一元管理)において医療等IDを活用する事例を紹介。個人情報の厳格な管理を前提として、国民1人1人の生涯を通じた保健情報を一元的に管理することで、ライフスタイルに応じた一次予防から三次予防までの保健事業が的確に実施されるべきとしている。
医療等分野における番号制度の導入は、2015年6月に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015」に盛り込まれ、マイナンバー制度のインフラを活用しながら、マイナンバーとは別の専用の番号制度を導入することが国家戦略となった。2018年度からの段階的導入、20年からの本格運用に向けて、今後は「医療等IDの保護のあり方」「医療等IDを流通させる安全なネットワークについて」などを検討していく予定。

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