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ピロリ除菌と胃癌発症の抑制 【除菌後も長期的効果や「覆われ胃癌」に注意】

No.4817 (2016年08月20日発行) P.54

渡 二郎 (兵庫医科大学内科学消化管科教授)

三輪洋人 (兵庫医科大学内科学消化管科主任教授)

登録日: 2016-08-20

最終更新日: 2016-10-30

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ピロリ菌は,慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍のみならず,胃癌の発症にも関与している。胃癌は慢性炎症を母地として発生するため,除菌治療によって胃炎が改善すると,胃癌の発症も抑制されるはずである。
2013年,慢性胃炎に対して除菌治療が保険適用となった。胃癌を予防するための除菌治療は,早ければ早いほうがよい。腸上皮化生が発生したような高度に萎縮した慢性胃炎では,その抑制効果は乏しいからである。しかし,最近の報告では,長期的にみると慢性胃炎例において,除菌群と非除菌群では発癌抑制効果に差がなくなりつつある。
また,早期胃癌の内視鏡治療後における異時性胃癌の予防としても,除菌治療が保険適用となっている。これは,内視鏡治療を行った患者を除菌群と非除菌群に割り付けた無作為試験において,3年後の異時性胃癌の発症が非除菌群に比べ,除菌群で有意に抑制されたとする結果に基づくものである。ところが最近,わが国や韓国から,長期的にみると両群に差がないとする報告も散見される。
一度,胃癌が発生した粘膜は「がんの発生母地(field cancerization)」となっている可能性がある。除菌後に発見されるがんは,正常あるいは異型の乏しい上皮で覆われていることが多い。また,隆起型が平坦化し,分化度の高い褪色調病変が除菌後には見つけにくくなる。したがって,除菌後もいわゆる「覆われ胃癌」の存在に注意しながら,定期的な経過観察が必要である。

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