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子宮内膜癌への内分泌学的因子の新たな関与  【プロラクチンによるRas経路の活性化による可能性】

No.4813 (2016年07月23日発行) P.50

齋藤文誉 (熊本大学産科婦人科)

片渕秀隆 (熊本大学産科婦人科教授)

登録日: 2016-07-23

最終更新日: 2016-10-29

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子宮内膜癌の発癌機構は,以前よりエストロゲン依存性のⅠ型と非依存性のⅡ型に分類され,説明されてきた。
Ⅰ型は,エストロゲンの長期被ばくを受けてがん抑制遺伝子であるPTEN遺伝子に異常が生じた結果,子宮内膜増殖症を発症し,さらにがん遺伝子であるK-Ras遺伝子やほかの遺伝子異常が加わることで類内膜腺癌へと進展するとされているが,その詳細はいまだに解明されていない。
筆者らが作製に成功したPTEN不活化による子宮内膜癌モデルマウスでは,エストロゲンの漸減に伴って高率に発癌が認められた(文献1)。この結果は,PTEN失活後の発癌過程にエストロゲンは必須ではなく,逆にその低下が関与していることを示唆しており,ヒト閉経期に好発する子宮内膜癌の臨床像を綻びなく説明できるものと考えられる。
一方,子宮内膜癌症例の内分泌学的検査では,血中プロラクチン(PRL)値が高値を示す症例が多く存在することが明らかとなった。高PRL血症では子宮内膜癌の発症が多いことが報告され(文献2),その機序としてPRLによるRas経路の活性化が考えられている。今後,臨床病理学的所見に加えて分子生物学的および内分泌学的な因子を包含した,子宮内膜癌の病態解明が望まれる。

【文献】


1) Saito F, et al:Int J Gynecol Cancer. 2011;21(8):1343-9.
2) Levina VV, et al:Cancer Res. 2009;69(12):5226-33.

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