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難治性喘息における吸入抗コリン薬の適用 【吸入ステロイドと長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の併用で1秒量の改善がみられる】

No.4807 (2016年06月11日発行) P.50

巽 浩一郎 (千葉大学呼吸器内科教授)

登録日: 2016-06-11

最終更新日: 2016-10-26

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喘息治療薬がテオフィリンしかなかった時代,気道過敏性検査で,短時間作用性抗コリン薬(イプラトロピウム)が喘息治療に有用であることが示されている。現在,喘息治療の第一は吸入ステロイド(ICS)の適切な使用である。中等症以上の喘息患者に対しては,ICSの効果をより高めるために,長時間作用性吸入β2刺激薬(LABA)の配合薬が有効である。それでも喘息症状がゼロにならない場合,ICSの増量ないしはSMART療法と呼ばれるICS/LABAの随時投与を含めた投与が考慮される。
不安定喘息患者に対しては,ICSの倍量投与よりも,LABA(サルメテロール)ないしは長時間作用性抗コリン薬(LAMA)(チオトロピウム)を加えたほうがピークフローの改善が得られ,喘息のコントロール状態が改善する。LABAの効果は予想可能であるが,ICSにLAMAを上乗せした場合のみ1秒量の改善が認められている(文献1)。LAMAには気管支拡張効果以外に,喘息気道に対する抗炎症作用,気道分泌抑制作用,ウイルス感染抑制作用などもあることが知られている。不安定喘息に対して,ICSの増量,ICS/LABAの投与以外に,LAMAは試みるべき治療法である。
さらに,中用量ICS投与でもコントロールのついていない中等症持続型喘息を対象としたMezzo TinA-asthma試験において,チオトロピウムはサルメテロールと同等の気管支拡張効果を示すことが示されている(文献2)。

【文献】


1) Peters SP, et al:N Engl J Med. 2010;363(18):1715-26.
2) Kerstjens HA, et al:Lancet Respir Med. 2015;3(5):367-76.

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