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乾癬に対する新規生物学的製剤 【従来薬より下流で作用する抗IL-17a抗体のセクキヌマブは副作用を抑えながら高い効果を上げることが期待】

No.4801 (2016年04月30日発行) P.58

神山泰介 (昭和大学皮膚科講師)

登録日: 2016-04-30

最終更新日: 2016-10-26

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乾癬は代表的な慢性炎症性疾患のひとつであるが,生物学的製剤の登場により治療が飛躍的に進歩し,これまで難渋していた重症例のコントロールも可能となりつつある。2016年4月現在,乾癬の保険診療が認められている生物学的製剤は,抗TNF-α抗体(インフリキシマブ,アダリムマブ),抗IL-12/23 p40抗体(ウステキヌマブ),抗IL-17a抗体(セクキヌマブ)の4剤である。
10年1月にインフリキシマブ,アダリムマブが,11年1月にウステキヌマブが,さらに14年12月にセクキヌマブが承認されている。
いささか簡潔であるが,乾癬の病態においてサイトカインはTNF-α → IL-23 → IL-17の順に作用することがわかっている。つまり,セクキヌマブはこれまでの薬剤よりも下流で作用することになるため,副作用を抑えながら高い効果を上げることが期待されている。現在までに示されている臨床試験データはその期待に応えるものであり(文献1),今後は長期成績が注目されるところである。
一方で近年,抗TNF-α抗体は乾癬患者に多い心血管疾患を減少させることが報告(文献2)されている。全身的な合併症に対しては炎症反応の上流をブロックする薬剤のほうが有利に働く可能性もあり,将来的には個々の症例に合わせた薬剤選択がより重要になると考えられる。

【文献】


1) Thaci D, et al:J Am Acad Dermatol. 2015;73(3):400-9.
2) Hugh J, et al:J Am Acad Dermatol. 2014;70(1):168-77.

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