気管支喘息は気道の慢性炎症が主たる病態である。その機序として,獲得型アレルギーや自然型アレルギー反応によるIgE産生,Th2サイトカイン(IL-4,IL-5,IL-13など)が誘導され,好酸球や肥満細胞などの炎症性細胞の増加と気道リモデリングの亢進へと進行する。
喘息治療の基本は吸入ステロイド(ICS)であるが,さらなる効率的な抗炎症治療のために,これらのアレルギー性炎症に関わる分子を標的とした新規生物学的製剤が開発され,わが国においても治験が行われている。
ヒト化抗IL-5抗体であるメポリズマブは強い好酸球活性化抑制因子で,難治性で喀痰中の好酸球3%以上の喘息患者を対象にしたトライアルでは,FEV1(1秒量)の改善効果は認めなかったが,1年間の増悪頻度改善とQOLの改善効果が認められた(文献1)。さらに,ステロイド依存性で好酸球性気道炎症の残存する喘息患者において,ステロイド内服薬の減量効果があることも示されたことから(文献2),IL-5受容体に対するヒト化抗体(anti-IL-5Rα)においても臨床研究が進行中である。
1) Haldar P, et al:N Engl J Med. 2009;360(10):973-84.
2) Nair P, et al:N Engl J Med. 2009;360(10):985-93.