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NOACのreal world  【NOACは症例ごとにリスクを吟味した上で,投与の可否や投与量を決定】

No.4796 (2016年03月26日発行) P.47

篠山瑞也 (山口大学脳神経外科)

鈴木倫保 (山口大学脳神経外科教授)

登録日: 2016-03-26

最終更新日: 2021-01-06

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非弁膜症性心房細動に対する抗凝固療法として,現在4種類の非ビタミンK依存性抗凝固薬(NOAC)が投与可能である。いずれもワルファリンと比較し,頭蓋内出血を含めた出血性合併症が少ないとされる。ただ,適応承認から日が浅く,NOACに関連した頭蓋内出血の詳細に関する報告は少ない。
当施設ではこれまで8例のNOAC関連頭蓋内出血例を経験した。リバーロキサバン4例,ダビガトランとアピキサバンが各2例であった。脳出血例のうち4例は減量基準が守られていなかったもの,あるいは慎重投与の対象であった。ダビガトラン投与例では85歳という高齢にもかかわらず高用量の内服を行っていた。また,リバーロキサバン投与例では1例は抗血小板薬2剤を併用,1例は肝硬変による血液凝固異常の状態かつ高用量の内服,もう1例は高度の腎機能障害を認め,慎重投与の対象であった。
当施設の結果を合わせると,これまで12論文125例のNOAC関連頭蓋内出血が報告されているが,そのうち脳出血は7論文112例であった。28例(25%)がダビガトラン,78例(69.6%)がリバーロキサバン,6例(5.4%)がアピキサバン内服中で,91例(81.3%)で高率に高血圧を合併していた。また,記載のあった97例中72例(74.2%)で慢性腎臓病(CKD)を合併していた。
NOAC投与に際しては1症例ずつ出血性合併症のリスクを吟味し,投与の可否,投与量の決定を行うべきであると考えられる。また,同時に高血圧,CKDなど脳出血のリスク管理も行っていくべきであると考えられる。

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