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喘息治療薬:加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)の有用性  【pMDIは噴射してゆっくり吸入するだけの簡便な操作のため,患者への指導が簡単で有効性が高い】

No.4791 (2016年02月20日発行) P.51

東田有智 (近畿大学内科(呼吸器・アレルギー内科部門) 教授)

登録日: 2016-02-20

最終更新日: 2016-10-26

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吸入ステロイド(inhaled corticosteroids:ICS)は喘息治療の第一選択薬である。主に加圧噴霧式定量吸入器(pressurized metered-dose inhaler:pMDI)とドライパウダー吸入器(dry powder inhaler:DPI)の2種類のデバイスが用いられる。
喘息の本態である気道炎症は中枢気道から末梢気道にまで及んでおり(文献1),ステロイドをこれらの部位にまで到達させるための適切な粒子径は0.8~5μmである(文献2)。DPIよりもpMDIのほうがこの範囲の粒子径を得られやすいため(文献3),ステロイドが気道の隅々にまで到達することが期待できる。特に末梢気道まで到達するのが特徴である。
一方,ICSで効果を発揮するためには患者に正しい吸入方法を身につけさせる必要がある。pMDIは噴射してゆっくり吸入するだけの簡便な手技であるのに対し,ほとんどのDPIは蓋を開けて器具のレバーを操作してパウダーをこぼさないように吸入器を持ち,強く深く吸入する必要がある。よって,pMDIのほうが吸入指導がしやすい上,患者の吸入手技習得の観点からも,DPIよりも有用であると考えられる。

【文献】


1) Carroll N, et al:Eur Respir J. 1997;10(2):292-300.
2) Chest. 1991;100(4):1106-9.
3) 日本アレルギー学会喘息ガイドライン専門部会, 監:喘息予防・管理ガイドライン2015. 協和企画, 2015.

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