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アレルギー疾患と皮膚感作 【フィラグリン蛋白が関与する可能性】

No.4787 (2016年01月23日発行) P.53

花宮 理比等 (福岡大学小児科)

井手康二 (福岡大学小児科)

廣瀬伸一 (福岡大学小児科主任教授)

登録日: 2016-01-23

最終更新日: 2016-10-26

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近年,アレルギー疾患の有病率は増加傾向にあり,わが国では約3人に1人の割合で何らかのアレルギー疾患を有している。
最近,アレルギー疾患の発症機序として経皮感作が注目されている。その1つは,フィラグリンと呼ばれる細胞骨格の形成や,皮膚の天然保湿因子となる蛋白をコードする遺伝子異常の発見である。この遺伝子異常が存在すると,アトピー性皮膚炎のリスクが3.1倍と上昇し,皮膚のみでなく,気管支喘息の発症リスクが1.5倍,ピーナッツアレルギーのリスクも5.3倍と,ほかのアトピー疾患の発症率も高めることが報告(文献1)された。
また,わが国では2011年に「茶のしずく石鹸」に含まれる加水分解小麦抗原に感作され,小麦による即時反応および運動誘発性アナフィラキシーを発症した症例が多数出現し,社会問題に発展した。これらはアレルギー疾患の発症機序において皮膚感作が重要であることを示唆している。
もちろん,フィラグリン蛋白の機能異常はまだ可能性のひとつであって,アレルギー疾患の発症には遺伝的背景,環境要因など複雑な要因が加わると考えられている。しかしながら,経皮感作を防ぐことがアレルギー疾患の予防につながる可能性もあり,現在はスキンケア(皮膚の保護)を通してアレルギー疾患の発症予防を行う研究がなされている。今後の研究の成果に期待したい。

【文献】


1) Lack G:J Allergy Clin Immunol. 2008;121(6):1331-6.

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