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クローン病に対するカプセル内視鏡検査

No.4752 (2015年05月23日発行) P.46

後藤秀実 (名古屋大学消化器内科教授)

登録日: 2015-05-23

最終更新日: 2016-10-26

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クローン(Crohn)病は消化管全層における慢性肉芽腫性炎症性疾患であり,患者数は近年増加傾向にある。消化管におけるすべての臓器で障害を受ける場合があるが,主座となるのは小腸が最も多い。クローン病小腸病変診断の従来法は小腸二重造影であり,鼻からチューブを十二指腸に一時留置し,バリウムと空気を入れてX線写真を撮る方法である。本検査は患者の苦痛が強く,また検査者の技量により診断が左右されることがあった。
2001年,小腸疾患精査の新たな方法としてカプセル内視鏡(CE)が導入された。カプセル型の内視鏡を飲み込んでもらうと,1秒につき2回の内視鏡写真が撮影されていく。カプセルのサイズは26×11mmであり,通常の内服薬よりひとまわり大きいが,嚥下障害がなければ問題なく内服できる。検査時間は約8時間で,1回の検査で全小腸の観察が可能である。
昨今クローン病は,腸粘膜が寛解を維持すると将来の手術を回避できる可能性が高く,そのため小腸粘膜の評価が重要であると報告されている。粘膜病変の典型像とされる縦走潰瘍や敷石状外観のみならず,初期病変のアフタや小びらんなどの微細病変もCEによって十分指摘できるため,CEを用いた評価は非常に有用である。
一方,クローン病は時に小腸狭窄を伴うため,CEを行うと狭窄部位を通過できずに腸内に永久に残ってしまう危険性がある。通常は事前にCEと同型で時間経過により溶ける,乳糖でできたカプセルを内服し,原型をとどめた体外排出を確認し,腸の開通性が得られたとの判断の上でCEを行う。この方法によって安全にクローン病患者に対してCE検査ができるようになった。

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