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非ステロイド系鎮痛薬による小腸潰瘍

No.4730 (2014年12月20日発行) P.48

杉山敏郎 (富山大学消化器造血器腫瘍制御内科教授)

登録日: 2014-12-20

最終更新日: 2016-10-26

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H.pylori除菌治療の普及で胃潰瘍,十二指腸潰瘍の患者数は大幅に減少している。反面,第二の原因である非ステロイド系鎮痛薬(NSAIDs)起因性潰瘍が増加している。NSAIDs潰瘍の特徴は前駆症状なしに突発的に出血をきたすことであり,予防が重要である。加えて,「暗黒の臓器」であった小腸の検査法(カプセル内視鏡など)が急速に進歩し,NSAIDsによる出血の一部は小腸に起因することも知られるようになった。
NSAIDs胃・十二指腸病変の予防にプロトンポンプ阻害薬(PPI)が有効とする多くのエビデンスがある。他方,NSAIDsによる小腸潰瘍の成因は不明で,予防法も確立していない。防御因子製剤の一部にNSAIDs小腸潰瘍に対する効果があるとの報告はあるが,ほとんどがわが国からのもので,世界的には十分なエビデンスとは言いがたい。NSAIDs小腸潰瘍動物モデルでは抗菌薬により腸内細菌を駆逐すると潰瘍予防ができることも報告されているが,大量の抗菌薬を長期間服用することは非現実的である。腸内細菌叢,食物の相互作用により生じる因子がNSAIDs服用で小腸組織内に侵入し,潰瘍形成に至ると推定されている。
最近,動物でのPPI服用はNSAIDs小腸潰瘍の増悪要因かもしれないとの報告(文献1)がなされ,NSAIDsによる小腸出血に対しPPI使用の是非が問われている。その機序としてPPIによる腸内細菌叢の攪乱が推定されている。腸内細菌叢に関する研究が爆発的に進展しているので,医学的にも明確で画期的な予防法が見出される日も近いだろう。

【文献】


1) Wallace JL, et al:Gastroenterology. 2011;141(4): 1314-22.

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