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HPV検査を用いた子宮頸癌検診

No.4726 (2014年11月22日発行) P.54

鈴木光明 (自治医科大学産科婦人科教授)

藤原寛行 (自治医科大学産科婦人科准教授)

登録日: 2014-11-22

最終更新日: 2016-10-26

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HPV(ヒトパピローマウイルス)検査は,子宮頸癌の原因であるハイリスク型HPVの遺伝子を検出する新しい子宮頸癌診断法である。子宮頸癌検診は従来より細胞診が広く用いられているが,前がん病変(CIN2/3)を含めた検出感度は50~75%にとどまる。一方,HPV検査では特異度は若干劣るものの,感度は90%超と高い。細胞診とHPV検査を併用することにより,(1)前がん病変の発見精度の向上,(2)検診受診間隔の延長,が期待される。
2000年代に,細胞診とHPV検査を併用した子宮頸癌検診の有効性を示す複数のランダム化比較試験(RCT)の結果が報告された。CIN2/3~浸潤癌の発見数をprimary endpointとした比較試験であるが,結果はいずれも細胞診単独群に比べて,併用検診群でCIN2/3の発見率の有意な上昇がみられた。
これらをもとに,米国では2012年3月に併用検診を推奨する新たなガイドラインが発表され,細胞診とHPV検査の双方が陰性の場合は検診間隔を5年に延長できるとした。最近,Roncoら(文献1)は4つの比較試験の結果をまとめて検討し,HPV検査の併用により60~70%の子宮頸癌が予防できると報告している。
わが国では現在120ほどの自治体で併用検診が行われているが,栃木県小山地区では前がん病変発見率の上昇,島根県では子宮頸癌の減少がみられている。妊孕能温存の観点からも.HPV検査の普及が望まれる。

【文献】


1) Ronco G, et al:Lancet. 2014;383(9916):524-32.

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